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ライトノベルの感想

『落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国XII』感想

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国XII (MF文庫J)

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国XII (MF文庫J)

ストーリー
山道を越えてルルドルブの街を目指していたナーガたちは、砦を目前にして、背後から野盗の襲撃を受けた。加えて、セレナの天眼により、前方から砦を目指して進軍するルルドルブの兵達が迫っていることがわかり、完全に退路を断たれてしまう。前門の虎、後門の狼の状況下でナーガが取った行動は、起死回生の一手となるか――!? その頃半島では、カサンドラ四世が「打倒魔女」を掲げ、都市国家にーガへの叛逆を迫っていた。魔女と人とが共存する理想の世界を目指すのか、それとも半島を人の手に取り戻すのか。ナーガとカサンドラ四世の双方に大恩のあるリガヤもまた、己の道を決める時が近づき――。大ヒット戦乱ファンタジー、空前絶後の第12弾!

12巻にして最終巻。いやあ、いいシリーズでしたね。
魔法という飛び道具を使いつつも、戦記モノとしては政治や外交なんかも絡めつつじっくりと見せてくれる作品でした。
ラストの展開はこうなるんじゃないかと思っていましたが、予想外の嬉しいオマケまでついてきて、大満足の完結巻となりました。


初っ端から、部隊の前後を敵軍に挟まれた緊急事態。しかし魔女たちによって情報収集効率が段違いのナーガにとっては、こんな危機など朝飯前なのでした。
というかやっぱり、この文明レベルの戦でのセレナやユウキの魔法って、反則もいいところですわ。
出征中の身内からの反乱というと大変な出来事ですが、意外なほどあっさりと抑えてしまいました。
もちろんカサンドラ国王の手際が悪すぎたというのもありますけど、この程度では揺らがないくらいに、魔女の国がしっかりとした基盤を作り上げていたということでもあります。
初めは十数人の魔女たち。それがいつの間にか、当たり前に何千という軍を動かすような国になりました。
まだ半島部分と少しだけとはいえ、魔女と人が共存する世界の成立は間違いなくそこに迫っていると感じさせてくれます。感慨深いものです。


真面目な軍略の間で、魔女たちとの無駄口&エロ談義に勤しむのもまた今作の醍醐味。
いや冷静に見て「今そんな場合じゃねえだろ」って時だったりもするんですけど、やっぱりこれがないと舞阪洸じゃないというか、これがあってこそというか。
その中でも一際可愛さを放っていたのが、誰あろうレラその人! そうですよね、なんだかんだでやっぱりレラが一番ヒロインしてますよね!
今回はレラのヒロイン力がもう色んな場面で爆発していて、ずっと推してきて本当に良かったなと……。ううう、巨乳軍団に押し負けそうになりながらもよく頑張ったよ……。
このラストシーン。物語の展開的にはこうせざるを得ないんだろうなと予感していましたが、しかしまさか「一緒に」だなんてね。嬉しすぎる誤算もあったものですね。
嬉しいといえば、最後のイラストも! とんでもないご褒美でした。ごちそうさまです。
12巻という長いシリーズとなった今作ですが、その長さを活かして、きっちりと戦記モノをやりきってくれたかなと。次はどんな戦記を見せてくれますか、舞阪先生!?


正直に言うとクゥは少し惜しかった(笑)。