まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

イグニッション・ブラッド3 煉獄の血戦

ストーリー
十万を超す至高の血族の大軍がクリアナに迫る。
どうにか初戦の防衛戦を乗り切った人類は、至高の血族たちが潜む地下都市へ奇襲をかけることに。
作戦の要として、一騎当千の精鋭たちによる小隊<シルバーエッジ>が結成されるのだが……。



クリアナと至高の血族との一大決戦を描く、シリーズ第3弾。
圧倒的な戦力差の中で決行される人類側のドリームチームでの奇襲作戦……熱く盛り上がりました。
十影とペスティ、クラリタと紅蛇老のそれぞれの「絆」を感じさせる戦いぶりはもちろん、ひとりドリームチームから外れたクインの孤独な頑張りにも拍手。


十万の大軍で攻め寄せる至高の血族。対するクリアナの戦力は二万五千。
一対一でさえ人類には不利だというのに、この数の差はまさに絶望的な状況。だからこそ、十影、ペスティ、クルススク、紅蛇、クラリタという5人に人類の命運が託されるのです!
対するは“誉れ高き血統”のランドルフ、ガルビヤス、ロッドの三兄弟。
人類と至高の血族の最強同士、しかも血縁や仇など、因縁も浅からぬ相手同士、満を持しての正面衝突……これで熱くならないわけがない。


至高の血族の強さが個々の身体能力と闇闘技にあるのなら、人類のそれは仲間との絆とチームワーク。
ランドルフとのバトルは、まさにそれを象徴するような戦いでした。
またランドルフがいい敵役なんだ! 凶悪で傲慢な至高の血族であることに変わりはないのだけれど、その正々堂々たる振る舞いはさすが王の血を引く者といった感じで、敵ながら格好良かったです。
それに続くガルビヤスと十影の一騎打ち、そして全てを支配するロッドとの決着戦も、それぞれのキャラクターが実に魅力的でした。まあ、ロッドは除くけど……。
印象的だったのはやっぱり十影とペスティの絆血の共振、そしてクラリタと紅蛇老の師弟間の強い信頼関係。まさかこんな風に決めてくれるとはねえ。見事でしたわ。
忘れてはならないのが、ひとり小隊とは別行動ながら大活躍を見せてくれたクインですね! 想い人と恋のライバルが共に戦いに赴く中、複雑な気持ちもあったでしょうが、ここで無茶なことをやらかしてくれるのが彼女らしいといいますか。最後に意地を見せてくれました。
さて、非常に盛りだくさんの内容だったのでもしやとは思ったのですが、案の定この巻で「一区切り」とのこと。順調に面白さを増していたシリーズだけに惜しいけれど、新作も楽しみにしています。


ミニマイズマシンのイラストはクラリタちゃんのアップも欲しかった……ッ(血涙)。