まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ぼくたちが本当にシタかったこと

ぼくたちが本当にシタかったこと (ガガガ文庫)

ぼくたちが本当にシタかったこと (ガガガ文庫)

ストーリー
成年向けコンテンツを作るための学校、成人映像専門学校に入学した渡戸愁。
学校での生活を通して魅力的な女の子たちと次第に仲良くなっていく愁。
しかし彼女たちは将来AV女優になることを目指していて……。



AV制作の専門学校に入学した主人公が、AV女優志望の女の子たちと接する中で心を揺さぶられていく性と創作の学園青春ストーリー。
いやー、これはハートにくる! エロ直球の設定ではあるのだけれど、サービスシーンがどうこうというよりも、ただひたすら生々しくてエグみが凄い。
でもどうしてだろう、これからAV女優未満のヒロインたちの姿に、やたらドキドキしてしまうのは……。


成人向け映像制作のスタッフや女優を育成するための専門学校、成人映像専門学校に入学した渡戸愁。
実際にAV撮影の現場に見学に行ったり、バイトでエキストラ出演したり、エロスをテーマにした個人制作をしたり。至って真面目にエロについて考えている生徒たちで溢れた学校は、なんとも独特の雰囲気です。
AV撮影現場の描写とか、もうめちゃくちゃ生々しい。ガヤのエキストラとして参加している自分のすぐそばで、女優さんがそういうことをされていて、そりゃもちろん見られるのが仕事の人たちではあるのだけど、見てはいけないものを見てしまっているようで、でもやっぱりガン見しちゃう。AV撮影のリアルなんて知りませんが、なかなか真に迫った描写で、なんだか妙にモヤモヤします。
やり手のAV監督・タダノがまた実に嫌ったらしいキャラクターで、色々想像させてくれるわけですわ。


五十嵐彩夏、近八侑李、七崎つぐみ、二道美奈といった、同級生の美少女たち。
友人であったり、顔見知り程度のクラスメイトだったり、ごく普通に世間話をするような間柄ですが、彼女たちはみんなAV女優志望の女の子です。
もし一般的な学校であれば、お近づきになりたい、付き合いたい、と思うような可愛らしい女の子。でもそんな彼女たちが近い将来にAV女優としてデビューするのだと思うと、別に彼氏でもなんでもないのに、なんだか物凄く心にくるものがあります。ちょいちょいタダノから勧誘されたりしていて、もう最悪。それと同時に、どうしてもドキドキしてしまう部分もあって、実に胸が騒ぐ!
なんだろう、この、可愛さの裏に見え隠れする艶っぽさは。端的に言って実に魅力的でした。性的であるというのは、そのものズバリ男に対する魅力ですからね……。
そんな中、九重紗英だけは、AV女優ではなく脚本家・作家志望のヒロイン。他の子に比べると地味であっても、どこか目が離せなくて、気になる女の子。
愁との関係も、やっぱり他のヒロインとはちょっと違う。たぶんまだ好きとか嫌いとかじゃないけれど、このふたりが、性の創作の中でどんな関係を築き上げていくのか、たいへん気になります。もちろん近八さんなど他の女の子とのこともあるし、ぜひとも続きが読みたいですね。期待しています。


イラストは珈琲猫さん。可愛らしさと透明感が両立した素晴らしいイラストでした。
だからこそこの下着姿が背徳的で……イイ……。


ちんすこうとカヌレのくだりがアホすぎて最高に好き。