まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

さよなら、サイキック 1.恋と重力のロンド

ストーリー
幼少期に重力を操る能力に目覚めるも、怠惰で平凡な高校生に落ち着いた獅堂ログ。
ある冬の夜に彼は、“最後の魔女”という運命を背負った少女・ロンドと出会い惹かれ合う。
その年の夏、クラス一の美少女・木佐谷樹軍乃に強引に誘われたログは、軍乃からのご褒美に釣られて郊外の鉄塔に登ることになり……。



全世界の清野静ファンが待ち望んだ7年ぶりの新作! 超能力者の少年が、同じく超能力者のドS少女と、古の魔女の末裔の少女に振り回される青春サマーストーリー。
陰と陽、大人っぽさと子供っぽさ、対照的なふたりのヒロインが甲乙つけがたい魅力を放っていて困ってしまいます。
まったく一筋縄ではいかない、何を考えているんだかわからない、男子にとっては不思議で仕方のない生き物……そんな「女の子」の描き方が非常に巧みでした。


もしもある日突然、校内一の美少女から郊外へのデートに誘われて、巨大な鉄塔に登ってきてと言われたら……断っちゃうかも。
でも、登った距離に比例してスカートの裾を持ち上げていいよなんて言われたら……いやー登るでしょ、そりゃ登るわ。
ということで主人公のログくんも、そんな風に思春期まっしぐらな少年でした。まあ、男の子だもんね、目の前の美少女からは逃れられない、それが男の子ってものだもんね。
しかしこのログくん、既にほぼ恋人同然のお相手がいたりするのです。しかも年下で外国人の金髪お嬢様で、ついでに魔女の末裔だったりするわけで、なんというか役満
こんな可愛らしい恋人(?)がいるのに他の女の子の色気に惑わされて、ほんとにもう……でもしょうがないんだ、許してやってください、だって思春期の男の子だから。


実は重力を操る超能力を持つログ。一方の軍乃は火を操る超能力を持ち、そして魔女の末裔たるロンドは、ナチュラルに箒で空を飛ぶ本物の魔女。
なかなかトンデモな裏を持つ3人の少年少女ですが、緊急時を除けばごく普通の……いや普通ではないけど……高校生と中学生です。
とてもエネルギッシュに、ログのことを連れ回すロンド。どこまでも明るくいつも笑顔な彼女を見ていると、こちらまで元気をもらえた気になってしまいそう。
一方の軍乃は、ログに構うのはあくまで超能力者同士だからという建前を保ちつつ、ちょこちょこ思わせぶりな態度を取ってくるのが実にニクい。
初めはロンドと距離を置くようにしていた軍乃が、次第にロンドにほだされていっていつの間にか友人関係になっていくのも微笑ましさ満点でした。もはやログ不要論まであるな……。
ロンドに潜むモノとの秘密の契約。軍乃から告げられた衝撃の言葉。どちらがメインヒロインでもおかしくない、これぞダブルヒロインといった展開になってきましたが、ログはどちらかを選ぶことができるのでしょうか? 私には無理っぽいので、今後のログの決断をじっと待つことにしたいと思います。続巻が楽しみですね。


イラストはあすぱらさん。透明感のある表紙に一瞬で惚れました。
あと口絵の軍乃が正直最高です。


JJさんが一番可愛い説も否めない。