まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

エクスタス・オンライン 01.魔王はクリアを許さない

ストーリー
次世代VRシステムの事故により、VRゲーム《エグゾディア・エクソダス》の中に閉じ込められてしまったクラス一同。
スクールカースト底辺の堂巡駆流が転生したのは、なぜか勇者側ではなく魔王ヘルシャフトとしてだった。
魔王を倒せば元の世界に戻れると信じるクラスメートたちだが、実際はゲームをクリアしてしまうと全員の命が危険にさらされるということを知り、駆流は皆と戦うことを決意する……。



クラスメイト全員の命を救うため、魔王としてゲームクリアを阻止するぼっち少年の孤独な戦いを描いたエロ×ゲーム世界ファンタジー!
面白かったです! 完全にクラスで浮いている主人公が、魔王としての顔とクラスの一員としての顔を使い分けつつゲームがクリアされないように暗躍する、その姿が可笑しくも切ない。
そしてもちろん久慈先生といえば……そう、エロを忘れてはいけません。要所要所で入ってくるエロ要素はさすがの力量を感じさせてくれました。最高でしょ。


閉じ込められたゲーム世界から脱出するためには魔王を倒してゲームをクリアしなければ……というのが一般的なストーリーの流れかと思いますが、主人公・駆流が生まれ変わったのはなんと当の魔王・ヘルシャフトとして。
クラスメイトがゲームをクリアしてしまうと全員の命が危険にさらされることを知ったぼっちの少年は、強大な魔王軍を引き連れ、正体を隠してクラスメイトたちと戦うことになるのです。
駆流に与えられた立場が巧妙ですね。たまたまゲーム内のことや命の危機のことを知ることができたけれど、なぜか周囲とはログインが半年ずれてしまった上に元々ぼっちすぎてクラスメイトたちに話しても信じてもらえる確証がなく、それどころか魔王だとバレてしまった時点で即アウトのアイテムまで存在する。
敵キャラであるためクラスメイトたちとは違って死んだら復活不可の縛りまであって、魔王軍のキャラクターたちに疑われるわけにもいかない。
全てを知る女奴隷にしてゲーム開発会社の女性・愁子さんの指示に従って、クラスメイトたちと魔王軍の部下たち、それぞれの顔色を伺いつつ戦いを繰り広げる。なんて細やかな神経を使う魔王なんだ……魔王なのに……。


駆流は魔王であることを隠しながらクラスメイトたちと合流するのだけれど、それにしてもこのぼっち感よ!
クラス一のイケメン・一之宮を中心に集まったスクールカースト上位パーティー。しかも全員が先に半年一緒に戦っている。その中にひょっこり、レベル1のぼっちが紛れ込んだら。いや、地獄でしょ……。
唯一まともに声をかけてくれるのは、みんなに優しい学園のアイドル・朝霧だけ。駆流のことも普段から気にかけてくれていて、もうめちゃくちゃいい子なのは間違いないんだけれど、そんな彼女もやっぱり一之宮に思いを寄せているのが丸わかりで、なんかもう辛い! 周りのギャルなんかが誰を好きでも構わないけれど、朝霧、お前もやはりそうなのか。
これで一之宮が嫌な奴だったらまだ憎みようもあるんですけど、またこいつがいい奴なんですよね。負けだ負け! ぼっちは外からそっと眺めているだけで我慢するんだ!
しかしまあ、朝霧がたとえ誰のことを好きだろうと、好きな女の子の命を守るために戦うと決めた駆流の姿は、ぼっちなりに格好良かったんじゃないでしょうか。……まあ、それで魔王になってすることは好きな女の子へのエロ魔法攻めなんだから、色々とぶちこわしなんだけど!
愁子さんとのアレコレも、朝霧とのアレコレも、どちらも実に素晴らしかったのですが、個人的に一押ししたいのはクールなクラスメイト・雫石ですね。朝霧以上のメインヒロイン力を感じるので、続巻ではぜひ雫石の活躍がもっと見られるといいな。楽しみです!


イラストは平つくねさん。可愛さ、格好良さ、エロさ、どれを取っても素晴らしいイラストでした。
愁子さんが正直たまりません。


これが噂のアダルトVR……やだ、課金しちゃう……。