まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!15 大学生編

ストーリー
大学四年の秋になっても就職先が決まらない柏田。
一方の恋ヶ崎は小説家デビューを果たし、大学卒業後は東京に出てくることを決める。
年末、一人暮らしの練習と称してウィークリーマンションを借りた恋ヶ崎は、一緒に住んでみないかと柏田を誘い……。



10巻で一度目の完結を迎えながらアフターストーリーとして続いた本シリーズも、今巻をもって本当の大団円。
内容はもう、表紙を見ればわかると思います。いやあ、ずっと読者として見守り続けてきたカップルが、いざ結婚となると、やっぱりなんだかんだでグッと来ちゃいますね……。
長谷川や小豆ちゃんをはじめ、勢揃いしたキャラクター陣からの祝福が、嬉しかったり切なかったりでまたずるい。おめでとう。ありがとう。


柏田も恋ヶ崎も大学四年になって、あの柏田が就活でひいこら言っているのかと思うと、ずいぶん遠いところまで来たなあとしみじみしてしまいます。
大学生になってからも、ところどころで恋愛的ピンチに陥ったふたりだけれど、ここまで来たらもうブレません。あとは、行くところまで行くだけですね。
とかいいつつ、一週間同じ部屋で同棲しているのに添い寝でキス止まりだったりもして、相変わらずピュアでプラトニックな恋を育んでいる様子。でも、これがこのカップルらしいところですよね。いいわあ。文字通りの純愛だわあ。
就活に悩む柏田。小説の次回作に悩む恋ヶ崎。ふたりともがそれぞれの道で悩んでいて、そしてお互いがお互いの助けになる。
お互いの足りないところを埋め合うような、まさにここしかない! という感じの名カップルぶりで、憧れてしまいます。このふたりならきっとずっと幸せでいることができると思えてきますね。


さて、いよいよこの時がやってきました。結局、ラブコメの終着点は全てここなんだろうなという気がしています。
高校時代の友人、大学時代の友人、バイト先の人たち。キャラクター総出演といった感じで次々に登場してくる人々。みんなが祝福してくる一方で、その人たちの人生も刻々と動いていて、確かな時間の経過を感じます。
もちろんふたりの結婚は幸せなことですが、祝福の裏で胸に痛みを抱えている女の子たちも。
長谷川も、小豆ちゃんも、ムラサキさんや佐倉さんも……ほんと柏田は罪な野郎だよ……顔ではおめでとうと笑ってくれているけれども、絶対に、胸の奥底ではどこかにわだかまっているものがまだあるはず。
でも、だからこそでしょうか。長谷川や小豆ちゃんのおめでとうは他の誰よりも心に刺さる。ああ……どうか幸せになってほしい。柏田なんかよりもずっとずっといい男をつかまえて、恋ヶ崎に見せびらかしてやればいいと思います!
ラストの結婚式。いやはや、不覚にもジンとしてしまいました。一度完結したのにまた新シリーズが始まって、最初はどうなるかと思っていたけれど、最後まできっちり楽しませてくれたシリーズでした。この作品が読めてよかった。ありがとうございました。新作も楽しみにしています。


鈴木のやつめ……やっぱりお前もそっち側か(笑)