まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

クオリディア・コード

クオリディア・コード (ダッシュエックス文庫)

クオリディア・コード (ダッシュエックス文庫)

ストーリー
約30年前、突如として地球に襲来した謎の異生物アンノウン。
東京、神奈川、千葉の各防衛都市では、固有能力<世界>を身につけた少年少女がアンノウンと戦い続けていた。
傲岸不遜な東京首席・朱雀壱弥は、次席の宇多良カナリアだけを連れて今日も戦場へと赴くのだが……。



『プロジェクト・クオリディア』本編となるアニメの第4話までの内容を描いたノベライズ版。
アニメでは分かりにくかった部分やキャラクターたちの細かい心情などが描かれる一方、当然ながらビジュアル面では制限があるので、アニメと相互補完的に楽しめますね。
どのコンビも魅力的なんだけれど、やっぱり個人的には東京組が一押し! 全然素直じゃない朱雀さんの不器用な生き方がいいんだよなあ。


前日譚から時間が経って、それぞれの都市の首席と次席に収まった主人公たち。
神奈川組は相変わらずのアホ娘&溺愛姉御っぷりだし、千葉組のひねくれ兄妹も前日譚の印象のまま。
そんな中で唯一キャラクターが変化しているように思えるのが、東京組首席・朱雀です。
まあ、東京編の2巻で性格を変えうるほどの目に遭っていることは確かですが、それでもここまで過激な独立独歩じゃなかったはずなのに。
部下たちのことなど気にもかけず、自分だけで戦いに赴いてしまう朱雀さん。彼の隣にいるのは、彼の心に存在するのは、唯一カナリアだけ。
あまりに不器用で、周囲から誤解されがちな生き方……。でもその根底にはやっぱり彼らしい優しさや、相手を認める気持ちも確かにあって、そんな部分が垣間見えるたびにほっとした気分にさせられます。表には出てこないから、カナリアの翻訳が必要なのは変わらないのだけれど(笑)。


自分さえ力を持てばいい、そんな間違った考え方のもと行動して、大きな失敗をしてしまう朱雀。
しかし大切な人の危機に直面して、ようやく思い出すわけです。彼の隣には、カナリアの他にも頼りになる奴らがいたことを。
どうしても目についちゃうのは、霞との関係ですよね! 顔を合わせばいがみ合う両者ですが、なんだかんだでお互いのことを気にしすぎなのでは……?
たぶん絶対に相容れない信条の持ち主同士ではあるものの、きっとどこかで通じ合う部分があるのでしょう。具体的には、世界を敵に回しても守りたい誰かがいるとか、そういうところがね。
朱雀壱弥の成長物語としてきっちりとまとまっている4話……。それだけに、この終わり方は結構くる。
アニメもまだまだ途中ではありますが、早くこの世界の謎を解き明かしてほしいです。じゃないと辛すぎるんだ……。


イラストは松竜さんとwingheartさん。表紙の東京コンビが凛々しくていいですね。
しかし改めてイラストで見ると胸部装甲の差が……いや、明日葉ちゃんはそのままでいいんだ。いいんだよ!


霞と青生は初対面だったのか。