まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズEX4 twelve shamans

ストーリー
史上最年少で『十二神将』入りを果たした『神童』大蓮寺鈴鹿
しかし彼女には、決して表には出せない極秘の計画があった。
黒猫の式神・ソハヤに見守られながら、密やかにその計画を推し進める鈴鹿だが……。



十二神将全員のエピソードを詰め込んだ短編集。
鈴鹿と大友の短編はアニメの円盤特典だったので既に読んでいるのですが、こうしてきちんと文庫のナンバリングタイトルにしてくれるのはありがたいですね。
そのどちらもが読み応えのある過去編になっているぶん、他の十二神将の話が数ページずつだったのはちょっと物足りなく感じてしまいました。もっと読みたいぞ!


100ページ超の中編2本に、数ページの掌編11本、現役十二神将+大蓮寺至道のエピソードまで収録した豪華な1冊。
まあ、天海や鏡、宮地あたりは本編でも既にたっぷり描かれているのでオマケ的な要素が強いんですが、第二部から登場の面々についてはまだ語られていることも少ないですし、楽しく読みました。
『結び姫』は弓削が十二神将になる前のエピソード。なんだかんだで弓削は結構好きなキャラクターなんですよ。結界に特化した才能っていうのが中二心くすぐるし、まっすぐでありつつ人間的に未熟なところも好感が持てるのです。
特殊な才能といえば『双瞳姫』幸徳井姉妹。特別霊視官でしかも双子とかいうめちゃくちゃおいしいキャラなのにまだ出番が少なくてもったいないと思ってました! 彼女たちはもっと活躍できる人材のはず……!
それから、倉橋単独の話というのも、思えば結構レアかもしれません。ある意味一番わけがわからない人物ですからね。今回の掌編はただの導入のための3ページだったけれど、機会があれば彼の過去話とかも読んでみたいなあ。


『神童』は鈴鹿十二神将になりたての頃、1巻の少し前のお話。兄を復活させるための研究を密かに進める静かな狂気と、無理矢理アイドル業をやらされて嫌がっている子供っぽさ、ちぐはぐな鈴鹿の顔がある意味微笑ましくも思える1本ですね。
黒猫ソハヤはもちろんですが、天海との「おじいちゃんと孫」的な会話も印象的。天海は本当にいいキャラしてますよ。
『黒子』は大友と道満の最初の邂逅を描いたお話。この出会いがあったからこそ6巻でのあの術比べがあったのだと思うと、大友ファン必読のエピソードといっても過言ではないですね! ほんと文庫に収録されてよかった。
鈴鹿が猫ならこちらは犬。ゼンタローにまつわる「三六の三羽烏」のちょっとした会話が、離れ離れになる前の彼らの間柄の深さを示しているようで好きでした。たぶん、毎回木暮がこうやってからかわれていたんだろうなあ……。
さて、なかなかに興味深い短編集でしたが、そろそろ本編が待ちきれなくなってきました。次こそ15巻をよろしくお願いします……!


オシャレすぎる国家一級陰陽師・三善。