まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンX

ストーリー
帝国から亡命を図るアルデラ教徒と、捕虜収容所から脱走したキオカ海軍は西から一路国境へ。
そしてジャン率いるキオカ陸軍に東から迫られた帝国軍は、東西から敵に挟まれることに。
絶体絶命のピンチに陥るシャミーユたちだったが……。



イクタ再び立つ。
東西の挟み撃ちにあい、いよいよ窮地に立たされたシャミーユと騎士団の面々。もうだめかというところで、突然やってきた彼が2年越しの采配を振るう……。
不眠の輝将を相手にこれ以上ない復活劇を見せてくれた彼の姿がとにかく嬉しくて、最高に燃えました。この表紙はちょっとずるいでしょう。


キオカとの国境付近。パトレンシーナとジャンによって作り出された、絵に描いたような大ピンチの状況。
マシューやトルウェイも奮闘したけれど、やはり敵はその上を行き、足掻くことさえ許してくれない……。ここで全て終わってしまうのか、そんな風にさえ思ってしまう中、彼がようやく姿を現しました。
いやはや、本にすればたったの2冊分でしたけど、主人公の不在はずいぶん長く感じましたね。シャミーユやトルウェイたちと同じで、心の拠り所がぽっかりとなくなってしまったような。
でもだからこそ、そんな彼の復活は何より嬉しいです。特にシャミーユとの再会の場面は、なかなかくるものがありました……。誰より嬉しいのは、きっと彼女だったことでしょう。頑なに暴君の仮面を被っていた少女が、彼の姿を見た瞬間にそれを剥がしてしまうくらいには。


さて、指揮官として2年ぶりの戦。それもかなり不利な状況からの戦です。思い切り遅刻してくれたのだから、その分思い切り働いてもらわなくてはね!
高台に布陣した軍を東西から攻められ、壊滅必至と思われた窮地。さらにはこちらに内通者まで存在する状況。しかしイクタは、まさに魔法のような采配によって、旧敵・不眠の輝将との戦いを互角以上に進めていくのでした。
ジャンやパトレンシーナの思惑を軽々と上回っていくイクタの指揮っぷりが実に気持ちいい! イクタの登場によって、不穏だったシャミーユと騎士団の雰囲気も一気に緩和されたし、久しぶりにスカッとする展開でほっとしました。8巻以降はストレス溜まりまくりでしたからね……。
イクタとジャンの戦いもこれで3度目ですが、やっぱりこのライバル関係はいいですよね。姿が見えなくても相手の存在を感じとる……強者は強者を知るという感じで、胸が熱くなるのです。
さて、全てに一段落ついたら、今度は向き合わなければならない人と向き合うべき時。正直、この人ばかりはどうしたものかと思ったけれど、そこをなんとかしてくれるのがイクタなんだなあ。
罪と人とを分けて考えるのは難しいことかもしれませんが、互いを心から信頼することのできる騎士団の面々ならば、マシューならば、きっと大丈夫。そう思わせてくれました。
新たな登場人物や、立派な成長を遂げたかつての部下なども加わり、イクタの下で帝国軍が生まれ変わろうとしています。第三国の介入も予想される中、帝国はこれからどこへ向かっていくのか。次巻も楽しみすぎて待ちきれません。


パトレンシーナさん意外と萌え要素も備えてるのか……さすが最強スパイだ(?)。