まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

夜空ノ一振リ

夜空ノ一振リ (講談社ラノベ文庫)

夜空ノ一振リ (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
異世界から現れる妖怪を討伐する“剣士“に憧れるも、試験に落ちまくっている落ちこぼれ・黒野刀禍。
ある日彼は、自らを“最強の精霊“だと話す奇妙な少女と出会い、契約を迫られる。
野良精霊は能力を持たないと知る刀禍は契約を断ろうとするのだが……。



第4回講談社ラノベチャレンジカップ<佳作>受賞作品。
剣士見習いの卒業試験に二浪している落ちこぼれ主人公が、能力を持たない代わりに最強の剣技を誇る精霊の少女と契約を交わすソードアクション。
自分の力ではない剣技で賞賛を受ける中、少女に見合った使い手となるべく努力していく主人公の姿がなかなか熱くてよかったです。
最初から幼なじみヒロインにベタ惚れで求愛しまくっている主人公というのもちょっと新鮮ですね。


異世界から「精霊」と「妖怪」が現れ、人間と精霊が協力して妖怪と戦っている、そんな世界が舞台。
主人公の刀禍は、妖怪と戦う「剣士」を目指して養成校に所属するも、あまりに弱すぎて卒業できずにいる落ちこぼれ。
そんな彼が、精霊としての能力を持たない「精霊の落ちこぼれ」である少女・夜空と契約を交わすところから物語が始まります。
刀の姿になり、剣士の武器として異能を振るう存在・精霊。夜空はその異能を持たないため野良精霊となっている少女だったのですが、彼女は自分を「最強の精霊」と言ってはばからない。それは彼女が、能力ではなく剣技で最強を誇る精霊だからなのです!
チャンバラはいいですよね。いつだって私たちの心を熱くさせてくれる。最強の剣と出会って一気に最強の剣士となる……ロマン溢れるじゃないですか。
他の剣士が精霊の力を使って戦っていく中、ひとりだけ純粋な剣技のみで戦うというのもベタながら好きな設定です!


刀禍には、一足先に剣士となった優秀な幼なじみ・音桜がいます。今作のヒロインです。
音桜にベタ惚れで、会うたびに「愛してるぜ!」と暴走しちゃう刀禍。そんな彼に対し、「はいはい、私も愛してるわよ」と軽く流しちゃう音桜。まだ恋人ではないけれど、限りなくそれに近いような気のおけない間柄が最高に羨ましくて辛い。
音桜の契約精霊・氷花も、なぜか刀禍にべったりなのがめちゃくちゃ可愛いロリ精霊だし、夜空も含めて軒並みヒロイン陣の魅力が高いですね。
夜空との契約後、音桜との模擬戦を終え、自分よりも遥か高みにいる彼女たちの剣技を目の当たりにした刀禍。
夜空から口止めされて、その強さが自分の力ではないということを明かせなくて、刀禍としては色々と思うところもあるでしょうが……。
そこで腐らずに、自分も早く彼女たちに追いつけるよう、逆に一念発起するあたり熱血主人公らしくて好感が持てました。
終盤の妖怪との戦いはどうにも不穏な雰囲気で心配しましたけど、こういう終わり方を迎えてくれてよかったです。刀禍と夜空の落ちこぼれコンビは、いったいどこまで上っていけるのか。続刊に期待です。


イラストは凪白みとさん。氷花のキャラデザが好きですね。
口絵の刀禍vs夜空は迫力があって素敵でした。


夜空と氷花のロリ精霊会話を延々眺めていたい。