まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

最強喰いのダークヒーロー

ストーリー
世界を熱狂させる新時代の異能競技『ソードウォウ』。
欧州から来た最強の新入生・リザは、初戦で最弱の無名選手・阿木双士郎に敗北してしまう。
自分がなぜ負けたのか分からずに悔しがるリザの元に、双士郎が姿を現して……。



最弱にして最凶最悪の男が、自分より遥かに強い対戦相手たちをありとあらゆる盤外戦術でなぎ倒していく異能バトルストーリー。
面白かったです。正々堂々戦ったのでは絶対に勝てない相手を、どんな卑怯な手を使ってでも無理やり下していく、とことん勝ちにこだわる悪の姿勢がいっそ清々しい。
主人公は確かに下衆で悪党なんですが、その刹那的で破滅的な生き方は正直ちょっと格好良いですね。


魔力に目覚めた「適合者」たちがその戦闘技能を競う競技「ソードウォウ」。
その十代限定アマチュアリーグの世界大会「祓魔祭」への出場を目指してやってきた欧州中学生大会の覇者・リザ。
対戦相手は学園の3年でありながらこれまでの対戦記録ゼロ、適合者としての資質も最弱レベル……しかしその男・双士郎に、リザはなぜか敗北を喫してしまうのです。
双士郎が、データ上現れない謎の力を秘めているとか、本番の時だけ覚醒するとか、そういった理由ではありません。彼の強みは相手の動きを読むのが得意なことと、ひたすら卑怯で小ずるい盤外戦術の数々なのでした……。


いやあ、セコいですね。ド直球にセコい! スポーツマンシップの欠片もない!
しかしまあ、双士郎は善悪で言えばハッキリ悪ではあるんですが、どこか憎めないところもあるんですよね。
それは多分、方法はどうあれ双士郎が勝つことに本気だからだと思います。対戦相手のことをとことん調べきる根気と、それを実際の試合に活かす悪知恵。周囲からどんな声を掛けられようと気にしないメンタル。
やっぱり、弱者が強者に勝利する姿って気持ちいいじゃないですか。それに、ソードウォウの世界に蔓延している権利主義や、学園が裏でやっているアレコレがだんだん明かされていくので、そのソードウォウの世界をぶっ潰そうとしている双士郎のことを応援したくなってくるのも仕方ないのかなと思います。
リザとの関わりも、意外や意外、少しずつではあるものの人間味のある部分が垣間見えてきてよかったですね。
ただ双士郎に利用されるだけのヒロインではなく、チームメイトとして隣に立つことのできるヒロインになってもらいたいです。まあ、もし双士郎とくっついたとして、それが幸せかどうかは微妙な感じですが……。


イラストはへいろーさん。双士郎の顔が下衆すぎて到底主人公には見えない!
口絵のルイとの格差が凄まじいですね……。


リザちんのコスプレアカウントはよ。