まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

楽園への清く正しき道程 庶民出身の国王様がまたご愛妾を迎えられるそうです

ストーリー
国王を敬愛する女騎士エヴァリーンに持ち上がった縁談。
結婚したら国王様の騎士ではいられないと思い詰めた彼女は、助っ人・フロリンの協力の下、思いを伝えるべく奮闘する。
一方、幼なじみのエヴァリーンの結婚話に焦った公爵令嬢・テレーゼも暴走を始め……。



庶民出身の国王がお転婆王妃の協力を得てハーレムを構築していくファンタジーラブコメ第3弾。
今回はなんと、女騎士と公爵令嬢の2人を同時に攻略しちゃいます! なんたる暴挙なんだ!
……と思いつつも、読んでみるとそれぞれのヒロインの魅力がしっかりと描かれているし、胸がきゅっとするし、最後には心が温まるのだから、本当に野村美月先生の作品は不思議ですね。最高でした。


「あのかた」のことを待っているばかりで、自分の恋についてはまるで進展のないカテリナ=フロリンですが、毎度ながら他人の恋についてはやたら協力的。
今回はエヴァリーンに望まぬ結婚話が迫っているということで、彼女が密かに想っているというお相手に対して積極的になれるように指導を始めていきます。そのお相手が国王だとは知らぬままに……。
他方、エヴァリーンの幼なじみにして元王妃候補だったテレーゼも、王妃の座を手にするべくついに行動を開始。案の定失敗はしたものの、それがきっかけでルドヴィークと近づくことに。
しかしルドヴィークも言っていましたが、気位が高そうに見えて恋愛に対しては初心で、ちょっとしたことで赤面をしてしまうテレーゼさんって、やたら可愛くないですか。ぶっちゃけ凄く好みなんですけど。
エヴァリーンの恋は応援する一方で、テレーゼのことは「ミーネをいじめそう」という理由で追い払おうとするフロリンには苦笑してしまいますね。カテリナの姿で、国の令嬢たちの門前で、思いっきりいたぶってみせるとか、この王妃様えげつないよ……さすがにテレーゼが可哀想だよ……。相変わらず、ノリのままについやりすぎちゃう子なんです、フロリンさん。


お互いが同じ相手に恋をしているということを知り、それぞれ身を引こうとするエヴァリーンとテレーゼ。
いつもいがみ合っていたように思えたふたりですが、やっぱり誰よりも仲良しで、お互いのことを思いあっていたのだということが伝わってきますね。いいなあ。女の友情だなあ。友情の示し方は、どうも切ないけれど。
エヴァリーンの結婚式でのテレーゼには、特にグッときてしまいました。自分のことばかり考えていたような彼女が、大切な幼なじみのために、色んなものを捨てて声を上げてみせた……。このギャップはずるいですよ。
さて、機を逃さず、ちゃっかりの2人の寵姫を手にした我らが国王様。そればかりか、ついでとばかりに四番目と五番目まで! 特に四番目には、思わずテンションが上がってしまいました。この人、これから絶対可愛くなっていくよね!
一気に賑やかさが増した中、姿を消したヒロインがひとり。やっぱり「七番目」というのは彼女のことなのでしょうか……。なんだかんだで、一番放っておけないのはやっぱりこの子だと思いますし、彼女にこそ幸せになってもらいたいのですが。
結局、彼女がルドヴィークのことをどう思っているのかもまだ微妙なところだし……とにかく続きが気になります! 次巻が待ち遠しい!


ミーネの心の広さに乾杯。