まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ぜんぶ死神が無能なせい

ストーリー
高校生・狭間孝一は、ある日の深夜0時、自称「死神」の少女・ラノ子の突然の訪問を受ける。
彼女によれば、孝一の余命はあと6時間であるという。
なんとか余命を伸ばしてもらうため、《余生会》なる謎の集会への参加を目指す孝一だったが……。



第4回講談社ラノベチャレンジカップ<佳作>受賞作品。
死神(幼女)によってあと6時間の命を宣告された少年が、「余生」を得るためにトンチンカンなクエストに挑むドタバタコメディ。
ひたすらテンポとギャグだけで読ませるキレッキレの作品でした。ツッコミを入れていたらキリがないくらいですが、それが楽しいですね。
しかしこれ、ヒロインポジは誰なんだろう……まさかの妹、なのか……?


深夜0時、死神が部屋のドアをノックする……。
字面だけ見るとホラーみたいですが、その死神が見た目ロリで中身もボケボケのただの「ベヤング」好きだったとしたら……。そんな風にして孝一とラノ子は出会い、そして孝一の「余生」を巡る6時間の戦いが始まるのでした。
少年としてはそりゃもう焦るし、シリアスになって当然なんだけれど、ラノ子の適当さと状況のトンデモっぷりのせいで、結果的に終始コミカルなストーリーになっていましたね。
他のキャラクターも、なぜか孝一の「天敵」として君臨する妹・未樹をはじめ、実は天使の弟子になっていたらしい最強の姉・紗希や、そして孝一を狙う謎の少女・皐月など、ラノ子にとどまらず、みんながみんなどこかおかしくて……なんなら孝一本人もやっぱりおかしくて、もはやツッコミをすることも忘れ、全てを流されるままに受け入れてしまったら、なんだか楽しくなってきました。
ちょっとした場面で笑わせてくれるあたりに、確かなセンスを感じます。


余生会に参加するため、天敵の妹と共闘して、天使経営のコンビニに押し入ったり、皐月とバトったり、コンビニの地下になぜか隠されていたダンジョンに潜ったり。
振り返ってみれば、たった6時間の出来事とは思えないほど濃密な時間でしたね……。
あとがきによれば、ヒロインは皐月(!)とのことでしたが、今巻だけ見たぶんにはやっぱり未樹がヒロインに見える! ツンデレというか、ただのツンなんですけどね。ツンな妹とか見ると、どうしても期待しちゃいますよね。ラノ子はなんというか、ちょっと超然としすぎちゃっているし。
一応、ラストはめでたしめでたしでもありつつ、お話が続きそうな雰囲気はあるので、次巻も楽しみにしています。皐月のヒロインらしいところが出てくるかもしれない。出ないかもしれない。

イラストは藤真拓哉さん。ロリに定評のあるイラストレーターさんですが、今回も素晴らしかったです。
特に死神保育所……じゃない、死神界のロリ祭りな1枚がお気に入り!


カップ焼きそば買ってこよう……。