まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

0.2ルクスの魔法の下で

0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)

0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)

ストーリー
全ての文字を読むことができるという不思議な力を持つ高校生・東圭輔。
ある日彼は、校内でも有名な不良娘、藤倉リザの前でうっかり異世界の文字を読んでしまう。
自称“あちら側の世界”の魔法使いの孫娘だというリザは、祖母の遺産を紐解き世界を渡る手伝いをするよう圭輔に迫り……。



第7回GA文庫大賞<奨励賞>受賞作品。
全ての文字を読める少年と、異世界の魔法使いの孫娘が、異世界へ渡航するために力を合わせるちょっと不思議な学園ストーリー。
良かったです。みんなから隠れて、不良少女とふたりで少しいけないことに手を染めるドキドキ感!
しかし、どんなに余裕ぶっていてもやっぱり少年も男ですな。女の子の魔法には絶対に勝てないようにできているのです。


生まれつき、どんな文字でも読むことができるという不思議な能力を持った主人公・圭輔。
校内でも有名な不良少女・リザの様子をうかがってくるように言われた彼は、園芸部の彼女が育てていた植物の種のラベルを、うっかりさらっと読んでしまいます。「マンドレイク」と……。
異世界の文字を読んだ圭輔にリザは驚愕。祖母が異世界の魔法使いだったという彼女は、自分も異世界へ旅立つべく、その魔法の材料であるマンドレイクを育てていたのでした。
祖母の手記などには、まだ不明な部分も多かったため、文字が読める圭輔を無理やり園芸部に引っ張りこもうとするのですが……。そのやり口が、実にずるいじゃないですか。「女の子だけが使える魔法」とか言って、そんなの勝てるわけがないのだ!
ああ、男ってほんとばか……。でも分かる、分かるぞ少年よ。ぶっちゃけ羨ましいぞ少年よ。


とにもかくにも、秘密の共有というものは男女の心の距離を縮めるものであります。
お互いの秘密を知った上で、毎日ふたりきりでマンドレイクの世話をしたり、祖母の家から紛失してしまったユニコーンの角を探したり、夜の校舎に潜り込んだり。そんなの、ドキドキしちゃうに決まってる。
いつも人を遠ざけて不機嫌な顔ばかり見せている少女が、圭輔に対してだけ活動的で、楽しそうに引っ張り回してくれるというギャップもあって、リザがとても眩しい女の子に見えました。
ユニコーンの角を持っていった自動人形との戦い。そこに絡んでくる幽霊少女騒ぎ。ドタバタを乗り越えて、ようやく異世界へ行く魔法ができたと思ったら……。なるほど、こういうオチになりましたか。
終わってみれば、ストーリーは綺麗にまとまっていたし、細かい伏線なんかも丁寧だったし、何より魔法で未知の世界へ行きたいというリザのワクワク感と、そんなリザを手伝う圭輔の微妙な心境が伝わってきて、読んでいて飽きのこない1冊でした。
今回はひとつの大きな仕掛けのためのお話になっていましたが……。個人的には、ぜひ彼らの今後の学園生活も読んでみたいですね! 続いてくれるといいな。


イラストは竹岡美穂さん。いつもながら、ため息の出るくらい素敵なイラストでございました。
あと数センチ! あと数センチなんだ!


少年は髪フェチかい。気が合いそうだね。