まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

異世界拷問姫

ストーリー
父親に殺された瀬名櫂人は、異世界の『拷問姫』エリザベートの手によって転生させられる。
『拷問』か『執事』かの二択を突きつけられた櫂人は、あえなくエリザベートの従者として働きはじめる。
咎人たる『拷問姫』の使命、14階級の悪魔とその契約者の討伐に付き合うこととなった櫂人だが……。



魔術で生み出す数々の拷問具で悪魔を切り刻む拷問姫と、彼女によって転生させられた執事の少年が織りなすダークバトルファンタジー。
もう、分かりやすく作者の趣味全開の話なんですが、それだけに確かな読み応えがありますね。
全ての悪魔を殺して自分も死ぬと決めている、破滅的で露悪的な拷問姫の生き様が魅力的でした。


父親からいいように使われ続けた挙句に命を奪われた主人公・櫂人。そんな彼の魂を転生させたのが、悪名高き「拷問姫」エリザベートでした。
かつて領民の命を残虐に奪い尽くしたという彼女。お城で櫂人と会話している分には、あまりそんな風には見えないのだけれど、その本性を善か悪かに分けるのならば確実に悪の側に振り分けられるだろう彼女。
教会からの処刑を待つ間、14階級の悪魔を殺害するという使命に生きるその姿は、自らに待ち受ける死を恐れるでも、悲しむでもなく、ただただ全てを破壊して破滅へ向かうことを楽しんでいるようで、空恐ろしくもあり、不思議と魅力的にも見えました。
まあ、拷問姫というだけあって、拷問大好きなドSですからね……楽しそうで何よりです、というか、正直小説で良かったです。漫画とかアニメだったら画がキツすぎる。悪魔のやり口にしろ、エリザベートの殺し方にしろ、描写だけでも十分エグいので、そのあたりについては言及を避けておきます……。


1巻で既に何人かの悪魔と対峙しているエリザベートと櫂人ですが、個人的に気に入っているのは悪魔と戦っていない第3章。
まさかこの流れで、こんなに純粋に可愛いヒロインが出てくるなんて驚きですよ! 機械仕掛けでもいいじゃない!
ということで「櫂人の」従者になったメイドのヒナですが、主への無償の愛がいつもたっぷりで、何かと殺伐としすぎている今作の貴重な癒やし要員となってくれました。
いざ戦えば櫂人なんかよりずっと頼りになるところもお約束でいい! メイドというものは戦闘力に優れていなければならないのだ……(間違った常識)。
そんな出会いもありつつ、ラストで待ち受けていたのは、エリザベートの因縁の相手との戦い。そして櫂人にも、ある決断が迫られることになりました。
何しろ拷問姫の従者としてやっていけるくらいですから、櫂人も相当にねじ曲がった人間です。そんな彼を形作った過去を叩き潰すという誘惑に、一度は負けそうになりながらも、こちらの世界での出会いがいつの間にか彼を変えてくれていた……。
残虐で殺伐とした世界ではありますが、そんな中にも少し救いがあった、そんな気がして少しほっとするのでした。
何人か倒したとはいえ、悪魔はまだまだ残っています。次はどんな突き抜けた戦いぶりを見せてくれるのか、怖いけれど楽しみですね。


イラストは鵜飼沙樹さん。もはや言わずもがなでしょう……今回も非常に美麗なイラストで目を奪われました。
エリザベートさんの胸元、よく見たらめっちゃエロい。


オタクはみんなアイアンメイデンが好き(偏見)(私を含む)。