まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

変態王子と笑わない猫。11

ストーリー
十年前の世界のツカサに対してついに真実を明かした横寺陽人と筒隠月子。
筒隠つくしの運命を書き換えるため、横寺陽人はいよいよ過去の猫神と対面することを決める。
ところが猫神から予想もしていなかった事実を聞かされて……。



前巻から引き続き幼女月子ちゃんと幼女鋼鉄さんと幼女小豆梓がとっても可愛いヘンティカンロリコメディ第11弾。
っておい、めちゃめちゃいい話じゃないですか……。横寺の語り口はいつも通り思いっきりアホに振り切れているのに、不意にこういうことをやってくるからズルいのだ……。毎度ながら、本当に物語の構成が巧みだと思います。
シリーズのクライマックスにふさわしく胸にぐっとくるお話でしたが、それはさておきイラストが凄く犯罪的でした。ありがとうカントク神。


猫神の力で意識だけ十年前の世界にやってきた横寺と月子ちゃん。
ツカサさんにやっとそのことを伝えられた横寺ですが、何より先に、未来での月子ちゃんの関係を不審がられるというのがなんともらしいというか……。横寺も大概ですが、月子ちゃんも相当な変態さんですよね、似た者カップルじゃないか! やったぜ!
まあ、月子ちゃんがここまで横寺に依存的になるのも、全ては横寺が悪いのだ。今回だってツカサさんにくっつきまくってるし、幼女鋼鉄さんには表でやったら捕まりそうなことを平然としでかしているし、幼女小豆梓にもデレデレしちゃっているのだ。少し強めに自分の方に引っ張っておくくらいでちょうどよいのです。でも小豆梓は仕方ないと思います。これは可愛すぎるもの……天使なのかよ……。


シリアスモードのようで、シリアスになりきれないのは、やっぱり横寺の変態さんのせいなんですけど。
でも、この楽しい日常がずっと続いてしまうのも、それはやっぱり不自然なことで、終わりはいつも突然にやってくるのでした。
ツカサさんの身体を蝕む呪い。そして未来の鋼鉄さんにかけられた呪い。筒隠家の呪いとされたこのふたつの呪いが、いったいどこからやってきたものなのか。
ようやく答えは出たのに、この展開はあまりに切ない。最初から決まっていたこととはいえ。
ツカサさん、いいキャラクターだよなあ。いつも不器用だけれど、子どもたちに向ける愛情はとても大きくて、深くて、どこまでも素敵な母親だったと思います。
ラストがまたたまらなく良かったですね! イラストの持ってきかたが、絶妙すぎる! 月子ちゃんも、なんか、ついにここまできたのかと、妙にしんみりきてしまいました……。
次巻は長いエピローグとのことで、大好きだったこのシリーズも、いよいよ終わりが近づいているのを感じます。過去のことはもう終わり。これからは未来のお話です。横寺と、月子ちゃん、小豆梓たちの進む道が、どのように切り拓かれていくのか……楽しみに待つことにしましょう。


猫神ちゃんビフォーアフターイラストには流石に吹いてしまった。