まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

廃皇子と獣姫の軍旗

ストーリー
周囲の国々から《黒狐》と怖れられるアルガント帝国皇太子ウィルフレド。
獣の半身を持つ亜人族との一戦に勝利した彼は、唯一人、人の姿をした《獣姫》を捕縛し帰国する。
しかし凱旋した彼に偽嫡の嫌疑がかかり、ウィルフレドは罪人となってしまう……。



強大な帝国で辣腕を振るった皇太子が廃嫡され、獣人たちの国に匿われて祖国と戦う戦記ファンタジー。
面白かったです。かつて敵だった獣人たちの中、難しい立場に立たされながらも知略を存分に巡らせる主人公が実にクールですね。
何よりもケモミミじゃ! ケモミミ祭りなのじゃ!


皇帝が体調を崩して以降、周囲の国との戦を一手に引き受けてアルガント帝国を勝利に導いてきた戦の天才・皇太子ウィルフレド。
しかし亜人族との戦いから帰ってきた彼を待っていたのは、王妃一派による陰謀。偽嫡の罪を着せられ、皇太子の身から一気に罪人に。
地方に連れられ人知れず暗殺されるところで、かつて捕らえながら危害を加えずに解放した亜人族の「戦姫」ククルに救われ、亜人族たちの国へ亡命することになるのでした。
しかし亜人族の国とは、まさにウィルフレドが指揮官として戦ったばかり。命を助けたこともあってククルからは(少しは)信用されていても、その他の人々としては当然ウィルフレドのことを信じられるはずもなく……。
ウィルフレド本人は一見好奇心旺盛なだけの無害な男に見えるんですけどね。何しろ頭が切れるので、怪しいことを企んでいると思われるのも仕方ないのかもしれません。
中にはそんなウィルフレドの仲間になってくれる亜人も少数ながらいて、皆から敵対的視線を向けられる亜人集落での生活の中で癒やしになってくれました。
ククルを差し置いてダントツで可愛いのがチトリ! もちろんケモミミ娘なんですけど、とある事情でウィルフレドと将来を約束することに(笑)。ウィルフレドのことを全て受け入れてくれそうな、素直で愛らしいヒロインでした。ぶっちゃけもうチトリルートでいいんじゃないかなと思います。


ただでさえ肩身の狭いウィルフレドですが、そこにきて帝国とまたもや戦をすることに。
自分が生き抜くため、そしてククルに恩を返すため、ウィルフレドも亜人族軍の一員として、かつての祖国と戦う決断をします。
相手は、ウィルフレドがかつて授けた策で固められた人間の大軍。一方亜人族は正面突破しか頭にない猪武者ばかり。
当然ウィルフレドの意見を聞いてくれるような亜人はほとんどいないので、ごく少数だけを率いて……勝手知ったる帝国軍の隙を上手く付き、自らの名声までも利用して、敵軍を思うようにつき崩していく。ウィルフレドの卓越した才能が冴え渡る戦いぶりでした。
さて、次に亜人たちの国へ差し向けられるのは、ウィルフレドとも縁の深いあの人。ウィルフレドは果たして彼女と戦えるのか? そして彼女の方は? 次巻でどのような展開を迎えるのか、今から気になって仕方ありません。


イラストはすみ兵さん。ケモミミがいっぱいなのじゃ!
でもキャラデザでは断然マルセリナが可愛いと思います。


キヤロはそのうちデレそう。