まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ロクでなし魔術講師と追想日誌

ストーリー
グレンの師であり育ての親でもあるセリカ=アルフォネアは、かつて帝国宮廷魔導士団特務分室の一員だった。
不老不死の我が身を嘆き、退廃的な生活ばかり送っていたセリカ
そんな彼女のもとに、とある村をリッチから解放するという任務が入り……。



5本の短編を収録したシリーズ初の短編集。
久しぶり(?)にグレンの授業シーンが満載で楽しい1冊でした。グレンの「ロクでなし」らしからぬ一面もたくさん見られてよかったです。
ラストの短編はセリカとグレンの邂逅の一話! 重苦しい話ではありましたが、セリカの親バカっぷりの原点が分かるお話でした。


「生き急ぐロクでなし」「迷える白猫と禁忌手記」は、わりと本編のテンションに近い内容の短編。
まだちょっとグレンと距離がある感じのシスティーナが微笑ましいです。ノリノリで黒歴史の制作に励んじゃったりするところも(笑)。やっぱりグレンとシスティーナって似たもの師弟ですよね。そしてルミアはほんといい子ですわ……。
「魔術講師グレン 無謀編」と「虚栄編」は、グレンの授業をメインに描く短編。
「無謀編」の方は、自分がかつて感動した錬成の授業のためにいつになく本気になるグレンの姿が、不器用ながらも素敵なお話でした。
そして「虚栄編」はまさかの授業参観! システィーナ夫妻めちゃくちゃキャラ濃いなおい! 父兄の前で精一杯格好つけようと頑張っては失敗して、というドタバタが楽しいお話でしたね。しかしなんだ、親は娘の恋心に鋭いもんであるよ……。


「空〜孤独の魔女〜」は、まだ子どもだった頃のグレンと、当時やさぐれまくっていた最強の魔女・セリカとの出会いの物語。
今までセリカがどれだけ凄いのかいまいち分からなかったのですが、その力の一端を見ることができて嬉しいです。
内容的にはかなり重いストーリーでしたが……。ここから始まるグレンとの生活の中で、セリカがどのように明るさを取り戻していったのか、ぜひ継続して描いてほしいですね。
セリカはとにかく謎の多いキャラクターですから、まだまだ外伝や短編等での活躍を期待しています!


親バカセリカがめちゃくちゃイタい……でもそこが可愛い。