まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔法科高校の劣等生(19) 師族会議編<下>

ストーリー
達也の『視線』によって遂に判明した、テロ首謀者・顧傑の手掛かり。
達也、克人、真由美、将輝は、各家の手駒とともに捕縛を狙う。
ところが一同が顧傑に迫ったところで、独自に彼を狙うUSNA軍の横槍が入り……。



顧傑を巡る一連の事件を描いた師族会議編の完結巻。達也、将輝、克人の共闘はやはり胸が踊ります。
今回の達也は色々と意外な一面を見せてくれましたね。深雪への愛が深すぎるのには引きましたけど……今更か……。
そしてオマケというか外伝? の「一条将輝転校日記」に全てを持って行かれましたわ! こんなん面白すぎてずるいでしょ!


十師族各家の力を持ってしても、なかなか足取りを掴ませない顧傑。
しかし一度彼を視認した達也は、実はその「精霊の眼」の力を本気で使うことによってその居場所まで突き止めることが可能! なのだけれど、普段達也は『視線』の5割(!)を深雪に向けているから、深雪の安全を心から感じられる状態でないとその力が使えない!
ということである方法で深雪の安全を確保し、「精霊の眼」を使用するわけですが……。
いや凄いですね。何が凄いって、達也が四六時中妹のことを「視」続けていたっていうのもなかなかにぶっ飛んでるし、妹の安全確保の方法も明らかにおかしいでしょ! これを至って真面目にやってるんだから笑えちゃうんですけど。まあ、方法自体はいいとして、何故水着or下着である必要があったのだろうか……?
ともかく、達也と深雪の嬉し恥ずかしな密着により、無事に手掛かりを掴むことのできた一同。でも、今回ばかりは全てが達也の思い通りに、というわけにはいきませんでした。
敵に操られた人物との悲しい戦い。彼と対峙した達也には、珍しく人間らしい狼狽が感じられました。感情を知らないと自分でも思っている達也ですが、もしかしたら少しずつ変わってきているのかもしれません。
事件のあっけない幕切れもねえ。ここまでやってきたことは何だったのかと思ってしまいますが、十師族といえど高校生の彼らにも限界はあるというもの。まあ今回は向こうに軍配ということで、でも次はそう上手くいかせないぞ……と、今後の達也さんにさらなる期待をかけたくなりますね。


さて、わりと重めの展開となった本編の後に収録された、80ページ程度の外伝「一条将輝転校日記」。
師族会議編を将輝の視点から日記形式で描いたものなんですが、これがえらく面白くて参りました。正直本編の内容が頭から全部吹っ飛ぶくらい。
とにかく最初から最後まで、将輝の深雪への恋い焦がれっぷりが赤裸々に描かれすぎていて、もうやめて! それ以上「クリムゾン・プリンス」の恥部を晒すのはやめてあげて!(笑)
しかし、将輝視点で見ると深雪がえらく魅力的なヒロインに思えてくるから不思議ですね……。ぶっちゃけいつもは全然興味がないんですけど、ちゃんとメインヒロインに見えました。
こんなにも純朴な想いを向けているのに、この恋は絶対に実らないんだと思うと切ないです。ぼくらの将輝さんに愛の手を……。
ともあれ、たまにはこういった、別の視点からのお話も楽しいですね。ぜひ他のキャラクターでもやってほしいです。


将輝さん、深雪とは別枠で、ジョージのことも愛しすぎでは……。