まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

超飽和セカンドブレイヴズ ―勇者失格の少年―

ストーリー
全人類に「勇者因子」が行き渡り、人々が洩れなく勇者化して、「セイヴズ」と呼ばれる「プロ」の勇者たちが世に溢れ返る勇者飽和時代。
自らを「勇者因子を持たない」と嘯く少年、草壁ジョウは、知り合いに呼ばれて「セイヴズの聖地」スプリーヴィルの地を訪れる。
そんなジョウに充てがわれた世話役は、弱冠十四歳にして現役のプロ勇者<プリマステラ>だった……。



勇者が溢れかえる世界で、とある理由からプロの勇者になることを諦めた少年が再び立ち上がるバトルアクション。
近未来な勇者たちがバラエティ豊かで楽しい。主人公の封印されし右手が……って鉄板の中二感ですけど、やっぱり好きですね(笑)。
ツンとすました化けの皮がだんだん剥がれて、どんどん可愛くなっていくメインヒロインがとても良かったです。


世界中に「勇者因子」が広がった結果、人類の誰しもが10段階の「勇者値」によってランク付けされている世の中。
その中でも特に勇者値の高い人類……エルフやドワーフや獣人も含む……たちが、人助けや<災禍獣>との戦い、そして高い勇者因子を使って悪さをする人々の撃退などで「プロ勇者」=「セイヴズ」として活躍し、脚光を浴びる。
そんなセイヴズたちに憧れつつも、ある事情でそれを諦めてしまった少年・ジョウが主人公なのですが……。
アメリカ・ニューヨークをモチーフにしたのだろう近未来魔導都市を舞台に、勇者というよりはヒーローと呼びたくなるような、ユニークなスーパーマン&ウーマンが飛び回る設定がもう楽しいですね。
現在世界唯一の勇者値1ケタ・S級勇者<コズミックマッスル>を筆頭に、華々しい活躍でアイドル的な人気を得ている勇者たち。
しかしその裏では、人気を取ってランクを上げるためにキャラ作りに勤しんでいるB級勇者なんかもいたりして、妙な世知辛さが笑えてきます。せっかく勇者になっても、周りが勇者だらけでは……世の中ままならんものである。


そんな中、ジョウの前に現れたのは、14歳にしてA級勇者となった破格の天才少女勇者<プリマステラ>ことエステル。
空を自在に飛び回り、愛剣で<災禍獣>をザクザクと切り裂いていく彼女はとても格好良く、凛としていてとても素敵!
クール美少女が売りの彼女は、当然プライベートでも冷たい印象……かと思いきや、なぜかジョウの前だけでは急なデレ方を見せて、挙句の果てには「お兄ちゃん」とまで呼び始めてしまう始末! 実はここにもとある理由が隠れてたりするんですが、もうそんなの関係なく可愛いのでオールオッケー! 好き!
ジョウの右手に隠された暗黒の過去。そして彼の育ての親にまつわる秘密。
ただ勇者に憧れていたあの頃とはかけ離れた視線で勇者たちを見つめるジョウ……そんな彼が、初めは必要に迫られてであったにせよ、自分の力を振るう決意を固めていく展開には胸が熱くなります。
エステルとの因縁を超えた絆もいいですね! 色々と問題は山積みだけれど、このコンビがこれからどんな勇者になっていくのか、今後の展開が楽しみです。


イラストはこちもさん。なんといってもエステルがエロ……可愛い。
しかしジョウさんはちょっと15歳には見えない老けっぷりだ!


ドランクニャンニャン推し