まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ゼロの使い魔』をざっくりと振り返る&今後の展望解説

 来る2月25日、遂に待ちに待ったゼロの使い魔』21巻が発売!!
 でも前巻が出たのはなんと2011年……いつの間にか5年も経っていたのね……なので、詳しい内容を覚えていない方も多いはず。
 ということで、21巻を読む人のために、これまでのシリーズの流れと、今後の話の中語られるであろう展開の予想をいくつか書いていきたいと思います!
 当然ながらネタバレ満載になるので、未読の方はこんなブログを読んでいるヒマがあったら急いで本屋にGOだ! ちなみにBOOK☆WALKERでは「ゼロの使い魔振り返りキャンペーン」を実施中、(『ゼロの使い魔』振り返りキャンペーン | 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER)大変お安くなっておりますので電子書籍派の方はこの機会にぜひ!



○1巻〜20巻のストーリー振り返り
本当にざっくりとしてますが許してください。あとサブタイトルは私が適当に付けちゃいました。

1〜3巻:“ゼロのルイズ”編
 ルイズと才人の出会いから、“ガンダールヴ”及び“虚無の担い手”としての覚醒までを描いた、始まりの物語。出色なのはやはり2巻『風のアルビオン』でしょうか。ライバルキャラとしてのワルドの登場、やきもきする才人と心乱れるルイズ、一度は諦めた才人が「見てるとどきどきする」女の子を守るために再び立ち上がる展開は、いつ読んでも胸を震わせてくれます。しかし今読み返すとこの頃のルイズのツンっぷりは凄い。でもこの辺のルイズが一番好きという人も多いはず。

4〜8巻:“アルビオン戦役”編
 「レコン・キスタ」率いるアルビオン軍と正面決戦をする第一の山場。この辺りは文字通り「神回の連続」というやつで、6巻の才人の告白から耳たぶ甘噛み(そこかよ)、7巻でのシリーズ最大といっていいハイライト「才人vs七万」など、アニメでも高い評価を得た名場面が連続して登場しました。ちなみに8巻『望郷の小夜曲』にはシリーズ中で私が一番好きなシーン、「偽の墓の前で才人に語りかけるルイズ」が! 何度読んでもあそこはグッときますね……。

9〜12巻:“新ヒロイン参戦”編
 アンリエッタ、タバサ、そしてティファニアと、ヒロイン陣が軒並み才人に転んでいく巻。我らが才人さんはここから貴族に。10巻『イーヴァルディの勇者』あたりは、1人のヒロイン・タバサを救うためにみんなで冒険する、単巻としても非常に出来のいい1冊ですね。9〜11巻はわりとシリアスムード多めなんですが、その反動か12巻はギャグ&エロ全開、最高に笑える短編集に仕上がっています。ラ・ヴァリエール公爵家がどれだけ凄い貴族だったのか改めて知ることができる一幕も。お気に入りの短編です。

13〜15巻:“vsガリア王”編
 タバサを陥れたガリア王ジョゼフとの決戦、決着が描かれました。この3冊もどれを取っても素晴らしい……シリーズ第二の山場と言えるでしょう。13巻でのルイズの悲しい決断から、14巻での再会に至る流れはいつ読んでもたまりません。名台詞「地球ナメんな。ファンタジー」は14巻。さらにもはや伝説となった「レモンちゃん」は15巻での登場です!(笑)

16〜18巻:“ド・オルニエール”編
 アンリエッタから領地を賜った才人とルイズの蜜月、そしてシリーズ最大級のすれ違いを描いた、恋愛的に波乱万丈の巻。いやあ、この辺はですね、正直読むのが辛いものがあるんですが……ルイズの才人への想いがようやく完成したといえる、重要なパートでもあります。17巻『黎明の修道女』でのルイズとアンリエッタのキャットファイトは大好きなシーン。18巻では、ジュリオと教皇が執拗に聖地を狙う理由が明かされて、物語が非常に大きく動いた巻でもありました。

19巻〜20巻:“vsエルフ”編
 エルフたちによって才人とティファニアが攫われ、ふたりを救出すべくルイズたちが動きだす……。完結も間近ということで、シリーズ一の謎・始祖ブリミルの過去が次々と明かされていきます。また、ここにきてティファニアのヒロイン力が急上昇。何かと遅咲きのヒロインですが、ルイズと才人がほぼ婚約レベルまで辿りついた後にこうして追い上げてくるんだから、まったく油断のならないハーフエルフですわ。20巻『古深淵の聖地』は、エルフたちの手から逃れた才人とティファニアが海に棲む韻竜と会ったり、海の底で原潜を発見したり、オストラント号でやってきたルイズがエルフの艦隊を吹き飛ばしたり……といった内容でした。思い出せましたでしょうか。



○21巻以降で描かれるだろう内容は?

(1)始祖ブリミルと使い魔の過去に隠された秘密が明かされる
 教皇とジョゼットの使い魔となったジュリオ、そしてルイズとティファニアの使い魔となった才人。特に才人の胸に現れた因縁のルーン「リーヴスラシル」がどのような使い魔を表すのかが、最大の謎となりそうです。「一番残酷な運命を担う」とのことですが、その運命とはいったい……? 始祖ブリミルの使い魔サーシャが、主を殺したという過去とも深く関わりがありそうです。ルイズやティファニアと才人がそのような運命を辿らずに済むとよいのですが。ちなみにアニメ版での「リーヴスラシル」の力は、自らの命を削って担い手の魔力を増幅するというものでした。

(2)エルフとの決着、そして世界の災厄への対処
 エルフに対する「聖戦」を発動中のロマリア。エルフとは、このまま戦争になってしまうのでしょうか……。仮に戦争が防げたとして、ハルケギニアに迫る危機「大隆起」から如何にして脱するのか、という問題が大きく横たわっています。アニメ版のように「災厄のドラゴンを倒す」という分かりやすさがあればいいのですが、現状で解決案が全く浮かんできません……。

(3)ルイズと才人の恋の結末
 やっぱり、何よりも気になるのはこれでしょう! まあここまできたら結婚はしてもらいたいなと思いますが、アニメ版とは違って“世界扉”が簡単に開けるわけではないというのが困ったところ。才人は果たして元の世界に帰ってしまうのか? 以前アニメ版サイト上の対談で、ヤマグチ先生が「ラストの根っこは変わらないので、共通のものです」(出典:TVアニメ ゼロの使い魔F|オフィシャルウェブサイト)と言いつつも「結末というか根っこの部分は変えていませんが、小説では絶対にできないエンディング」(出典:TVアニメ ゼロの使い魔F|オフィシャルウェブサイト)とも言っていたので、なんとも予想がしづらいところです。
 もうひとつ、忘れてはならないのが、ルイズがいつ才人に「好き」と口に出して伝えるのかというところ。

まずは、あんたの帰る方法、探してあげる。
そのとき、言えなかった言葉を告げよう。
じゃないと……、自分が発した言葉は、才人にとって身を縛る鎖になりかねないから。
                           ――『ゼロの使い魔8 望郷の小夜曲』より

 とあるとおり、ルイズは今まで一度も、才人に面と向かって「好き」と言っておりません。まあ、「キスして」だのなんだのは言いまくっているし、想いは伝わっているも同然なんですが、ともかく「好き」とは言っていないんですね。それくらいルイズにとっては重い言葉なのだろうと思いますが、恐らく、才人が元の世界に帰るか、こちらの世界に留まるかの決断をした時に……ルイズの口から、この言葉が出てくるのではないかと思います。アニメ版では、才人を“世界扉”で地球に返した際(『ゼロの使い魔F』11話「ルイズの選択」)に初めて「大好きだった」と告げていました。悲しい別れにだけはしてほしくないし、絶対にそうはならないと信じていますが……さてどうなるか。



 他にも、元素の兄弟との決着や、地味に登場し続けているワルド&フーケがどうなるのか、シエスタはともかく、タバサやアンリエッタの恋はどうするのか、等々、気になることだらけなんですが、書ききれないのでこの辺で。いやあ、20巻が出た当時からずっと思っているんですけど、あと2巻で本当に片がつくんでしょうか……?
 ともかく、ここまできたら我々にはもう待つことしかできません。ヤマグチ先生のプロットと、先生の遺志を継いだ執筆者の方を強く信じて、あと数日、首を長くして待つことにしたいと思います。あー、楽しみ!!