まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡

ストーリー
大学入学直後、同じ新入生の橋本秋帆から競技ダンス部に誘われた成島拓海。
何度断っても諦めようとしない秋帆の真剣さに屈し、期間限定で入部する契約を交わす。
優雅なイメージとは裏腹、体育会系な活動に絞られる日々の中で、やがて拓海はダンスの楽しさに目覚めてゆくが……。



190センチの長身を見込まれてダンス部に連れ込まれた主人公が、次第にダンスの魅力に取り憑かれていく夢と青春の競技ダンスストーリー。
面白かった! 「ふたり」の競技でもあり「チーム」の競技でもある大学競技ダンスの熱さ、厳しさ、楽しさが存分に盛り込まれていて読み応えがありました。
ヒロインに引っ張られてばかりだった主人公が、いつの間にかヒロインの背中を押すようになる……ダンスのカップルって、なんて素敵な関係なんでしょう。


中学高校と男子校通いで、全く女性慣れしないまま大学に入学した新入生・拓海。
そんな彼の高身長を見初めたヒロイン・秋帆に付きまとわれ、なんと競技ダンス部に入部することに。
女性と会話を交わすのも怪しい感じなのに、手に手を握ってダンスなんて! しかも本気で日本一を目指しているなんて!
初めこそ仕方なく……でも熱心に教えてくれる先輩たちがいて、秋帆の情熱を間近に見て、何より実際に秋帆と踊ってみて、自分でも気付かない内にダンスのことを好きになっていく拓海。見ているだけで、こちらの胸も踊りだしてしまいそう。いいなあ。こういう大学生活に憧れたなあ。


秋帆はとても魅力的なヒロインでした。拓海と一緒に日本一になるんだと本気になって彼を口説き落とす熱さ、毎朝一緒にランニングに誘いに来る面倒見の良さ、もちろんダンスの才能も、それ以上にダンスにかける情熱も……。
とても芯の強い女性。そう見えていただけに、過去に因縁のあったかつてのリーダー・四条と再会して動揺する彼女の姿に、こちらまで心を乱されました。
ダンスのカップルって、外から見るとどうしても恋人みたいに見えちゃうし、そうすると四条は秋帆の元カレみたいなもんで……ああもう、すっごくモヤッとする!(笑)
でも、今の秋帆には隣に拓海がいます。思いをすれ違わせてしまった場面は切なくてたまりませんでしたが、今度は拓海の方から。またふたりで歩み出すふたりの姿に、心からエールを叫びたくなりました。
ルーキーながら、その才能の片鱗を披露してくれたふたり。ユニークな先輩たちや友人たちと切磋琢磨する中で、ふたりのダンスがこれからどのように花開いてゆくのか、今後が楽しみでなりません。もちろん、恋愛方面も期待していますよ!


ダンス以外はまるでダメな秋帆ちゃん萌え。