まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理〜

ストーリー
神界の台所“ヴァルハラキッチン”でコック見習いとして働くイノシシのセイ。
一日一回生き返るという不思議な力を持つセイは、毎日死んで料理として提供されるという重要な役割を背負っていた。
そんなある日、ヴァルキューレ姉妹の長女・ブリュンヒルデから自室へのお誘いを受けるのだが……。



第22回電撃小説大賞<金賞>受賞作品。
毎日食卓のメイン料理になっては夕方に生き返るイノシシ坊やを主人公に据えた、北欧神話オマージュコメディ!
オーディンフレイヤといった神々や、ブリュンヒルデをはじめとしたヴァルキューレ姉妹、伝説の生物たちなどなど、北欧神話ネタがてんこもりでとにかく賑やかかつ楽しい作品でした。
主人公は一介のイノシシ君なのに美女たちから愛されまくっててずるい! 羨ましいんじゃ!


主人公のセイは、1日1回だけ夕方に生き返ることができるという、神界『アースガルド』でも珍しい力を持つイノシシ君。
その力を存分に発揮できる彼の職業は、ヴァルハラにやってきた死した英雄たち・エインヘリヤルの夕飯になること! ってなんだそりゃ!
増えすぎた英雄たちの食糧危機に瀕して、死んでも生き返るイノシシと、料理がなくならない大釜の合わせ技でピンチ解決! というのは分かるけれども、毎日主人公が食べられるお話っていうのもまた珍しいですね……。
そんな過酷な運命の下にありつつも、セイ君は明るく前向きで、見ていて楽しい奴でした。イノシシのくせにやたら女に貪欲なのが気になりますが(笑)。
しかしこのセイ君、なんとも羨ましいことに、神界の美人たちから妙な人気を誇っているようで……。ヴァルキューレ九姉妹やフレイヤさまに抱っこされて可愛がられている姿を見ると、「次に生まれ変わるなら可愛いイノシシだな……」とか思っちゃいますよね。しょうがないよね。
ブリュンヒルデもゲルヒルデも可愛かったけれど、個人的にはやっぱりジークルーネちゃんがイチオシです!


神々の王オーディンを筆頭に、ロキやフレイヤ等々の神たち、その部下たるヴァルキューレや、伝説の馬スレイプニルなどの生物たち。伝説の武器。伝説のエピソード。
私は北欧神話はほとんど知りませんが、どこかで聞いたような名前がいっぱい登場してきて、それだけでもう楽しくなってきちゃいます。
ロキと一緒にバカ騒ぎしたり、フレイヤの館でヴァルキューレたちとの宴に参加したり……。そんな中で、次第に自分の持つ力の不可思議さに気づいていくセイ君。
1日1回生き返る力だけでなく、類まれなルーン魔術での変身能力まで持っていることが判明したイノシシ君ですが、まさか最終的にドラゴンと戦うことになろうとはね……。
ばかばかしい顛末ながらも、なんだかんだで世界を救っちゃったイノシシ君の今後に期待です。他のヴァルキューレたちの出番も待ってますよー!


イラストはファルまろさん。女の子がふわふわしてて、表情豊かで、みんな可愛くていい!
お気に入りはなんといっても本文最初の1枚ですわ(真顔)。


「レーラズミード」の「オーディン飲み」したすぎるでしょ……。