まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺を好きなのはお前だけかよ

ストーリー
可愛い幼なじみのひまわりと憧れの先輩コスモスから同時にデートに誘われた高校生・ジョーロ。
ところが彼女たちから告げられたのは、ジョーロの親友・サンちゃんへの恋を応援してくれという依頼だった。
落ち込みつつも思わず安請け合いしてしまったジョーロだったが、そんな彼の奮闘っぷりを見つめる少女がいて……。



第22回電撃小説大賞<金賞>受賞作品。
主人公の親友のことが好きな幼なじみと先輩、ふたりの恋を応援する彼のことを好きなのはただひとり、三つ編み眼鏡毒舌地味少女だけ……ヒロインたちに振り回されながら主人公がひたすらに頑張るドタバタ学園ラブコメディ。
いや参りました。半端なく面白かったです。笑いながら読んでいたら、いつの間にか読み終わってました……。
自分勝手な女子たちにムカつきつつも面白おかしいラブコメなんですが、主人公がどんどん格好良く、そして地味ヒロインがどんどん魅力的に見えてくるのが不思議です。


主人公のジョーロ君(なお、以下の人名は全てあだ名)は、平凡で無害な鈍感系巻き込まれ型主人公……を外面で演じる高校生。
幼なじみ・ひまわりと、先輩・コスモスから同時におでかけに誘われて、すわ三角関係ラブコメが始まるのかと思いきや、ふたりが告げてきたのはジョーロの親友・サンちゃんへの想い!
地の文での一人称を「僕」から「俺」に変えて、すっかり素のガサツな状態に戻りつつも、ふたりの恋の応援をしていく……というところから、お話が本格的に動きだします。
一方、そんな彼に対して、今度こそジョーロのことが好きだとはっきり伝えてきた唯一の女の子が、なぜかジョーロに対してだけ毒舌を使ってくる黒髪×三つ編み×眼鏡と三拍子揃った地味少女・パンジー。
その毒舌のせいでパンジーのことを苦手にしているジョーロですが、恋をサポートしているという秘密を握られた結果、彼女の言うことに従うしかなく……。午前中はひまわりへの協力、昼休みはパンジーと図書館、放課後はコスモス先輩への協力と、女の子3人に振り回されまくる日々が始まるのでした。


初めこそ可愛く見えていたひまわりとコスモス先輩ですが、彼女たちが好きなのはジョーロじゃないんだと分かって改めて見ると、なんということでしょう、全っ然可愛く思えない!
いざサンちゃんの前に出ると何もかもダメになるトンチンカンっぷりはまあいいとして、自分の恋のためにジョーロをいいように使っておいて、いざ都合が悪くなるとジョーロのことばかり責めてくる身勝手さがホント嫌になります。適当にスキンシップ取っておけばみんな釣られるとか思ってんじゃないでしょうね!
もはやパンジーだけが救い、パンジーだけが癒やしですよ……ジョーロ自身はそうは思っていないみたいですけど、実際、ジョーロが素を出せているのはパンジーの前でだけだし、毒舌を正面切ってぶつけあう間柄っていいよなあと思うのです。パンジーがジョーロのことを好きだと分かっているから、なおさらね!
ひまわり、コスモス、さらにはサンちゃんまで。とことん振り回されてもギリギリのところで耐えていたジョーロですが、とあるところで遂に爆発。いやあ、正直最高にスッキリしましたよ。
しかし、どれだけ相手にムカついていても、本音ではみんなのことを考えているジョーロ。この主人公は、本当にいい奴なんです。心の中ではぐちぐち言いつつも、なんだかんだでずっと人のためを思って行動していて、とても素敵な男なんです。読んでいくうちにだんだんそれが分かってきて、もはやジョーロ株はストップ高ですよ。
そのことを唯一見抜いたのがパンジーだったわけですけど、彼女に関する衝撃の事実も判明したことだし、もう素直になっちゃえばいいんじゃないかなと思います。パンジー可愛いよパンジー。
次巻の発売ももう決定しているようですし、続きがどうなるのか実に気になりますね! 楽しみです。


イラストはブリキさん。いつ見ても絶妙に色っぽいイラストだ……ため息出ちゃう。
パンジーの徹底した地味っぷりが好きです。


恋する少女はテレパシー能力持ちなのだ(ガクブル)。