まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ロムニア帝国興亡記VII ―新たな時代への一歩―

ストーリー
最大の窮地をリ・イン、フレイヤらの獅子奮迅の働きによって凌いだサイファカール。
いよいよ第三皇子ミラニエゥス軍との全面戦争に挑む。
帝国からの討伐軍をも打ち破る圧倒的なミラニエゥス軍の進撃に対し、サイファカールは起死回生の策を考案する……。



第三皇子ミラニエゥスとの決戦の顛末を描く……と同時にシリーズ完結巻。
ありゃ、ここで終わりですか。ミラニエゥス軍との正面衝突は確かに見応えがあったのですが、これで終わってしまうのはちょっと拍子抜けかも……。
最後までリリィが大活躍してくれたのは嬉しいですね。私の中で彼女は第二の主人公でした!


帝都に向けて着々と南下しつつある大勢力、ミラニエゥス皇子軍。
彼の進撃に対してサイファカールが採ったのは、ミラニエゥスの本拠地を攻めて兵たちの士気を下げることと、リリィ率いる精鋭アルアラ軍団を帝国軍への援軍として送り込むことでした。
サイファカールから「上手く立ち回れ」と言われただけで彼の思惑を精確に汲み取り、四千たらずの兵数ながら確実にミラニエゥス軍を削りつつ、自軍に大きな傷をつけさせないリリィの采配たるや、さすがのひと言。
自身の一騎当千ぶりも披露した上に、大きすぎるオマケまで拾ってサイファカールの下へ戻ってくるのだから、凄まじい大活躍でした。アンタがMVPだよ!


サイファカール軍とミラニエゥス軍、両軍で二十万近く。シリーズを締めくくるにはふさわしい、大軍勢同士の決戦となりました。
サイファカール軍は、新旧の猛将智将を揃えた綺羅星のような陣容。まさにオールスターキャストですね。
各々の活躍もさることながら、やはり迫力はサイファカールの大胆な作戦。数百数千人のぶつかり合いならともかく、何万人という規模でこれをやりますか。
一歩間違えれば大惨事になるところを、確実に読みきって勝利をもぎとる。最後まで彼らしい戦いでしたね。
さて、残る強敵は皇太子とチチェリアーナ、そしてビルダバルダス……ということで、サイファカールの戦いはまだまだ続きますが、シリーズ的にはここまで。
皇太子・宰相との政治的駆け引きや、チチェリアーナ軍との海戦、ビルダバルダスとの陸戦も見たかったのですが、あとは想像のままにということで。まあそこはいいのだけれど、サイファカールの妻が誰になったのかは、やっぱり気になるなあ!


リリィエンテルリオナーシュブラフィシュカ(最後の挨拶)。