まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

楽園への清く正しき道程 1番目はお嫁さんにしたい系薄幸メイド

ストーリー
ルドヴィークに素敵なお嫁さんを探してあげたいフロリンのアイディアで開催されることになった“お嫁さんにしたい子番付レース”。
優勝した娘は国王様の寵姫として迎えられるという噂が広がり、城中がヒートアップする。
そんな中、ルドヴィークはいじめに遭っている内気な侍女と知り合い、地味な彼女を魅力的に変身させることに……。



野村美月先生が贈るファンタジーハーレム(予定)コメディ第2弾。今回もホント面白くて、寝る間を惜しんで読んでしまいました。
(王妃を数えなければ)1人目のヒロインは、城でいじめられていた薄幸メイド! 地味な女の子を変装した国王と王妃が城内ナンバーワン美少女に仕立てあげる……素敵なシンデレラストーリーではないですか。
恋した相手が国王と知った少女に避けられてしまう展開もきゅんとするし、何よりも、自分からお嫁さんを探してあげると言っておきながらなぜか寂しくなっちゃうフロリンが最高に可愛すぎる!


表では冷たい王妃カテリナを演じながら、裏では快活で明るく、そしてお転婆な女の子フロリン。
他に想い人のいる自分の代わりに、ルディに素敵なお嫁さんを探してあげるため、彼女が提案したのは城内で開催する「お嫁さんにしたい子番付レース」でした。
有力貴族の令嬢や、華やかで兵士たちに大人気の侍女など、そうそうたるメンバーが名乗りを上げる中……ルディの目に止まったのは、他のメイドたちからいじめられていた煤だらけの儚げな侍女・ミーネ。
けなげな彼女を元気づけるために、変装したルディとフロリンが全力でサポートして、次第に城内の人気を高めていく展開にワクワクしました。国王も王妃もやりたい放題である。
見た目だけではなく、絵本を使って自ら字の読み書きを教える中で、次第に育っていくミーネへの好ましい思い。そしてその逆も……。
お前はフロリンが好きなんだろ! と思いつつも、ほんのりと優しい気持ちが育っていくさまはとても甘酸っぱくて、微笑ましくて、野村先生の本領発揮といったところでしたね。


一方、ミーネと一緒にいる時間が増えたルディのもとに、なかなか遊びに行けなくなって、ちょっと寂しくなってしまうフロリン。
自分には待っている人がいる……なんて言ってはいるけれど、その実けっこう、ルディのことを気にかけてもいるのかなという感じで、ニヤニヤしてしまいました。
ルディが国王ルドヴィークだと知って、田舎に引きこもってしまったミーネに対して、エンドラ語で言い放ったセリフも最高でしたね! やっぱり、フロリンはいいなあ……。やっぱり彼女が「7番目」になるのかなあ。
ひたむきに向けつづけた思いと、同志フロリンの力添えのおかげで、ミーネと気持ちを通じあわせることができたルディ。
寵姫なんて言いつつも、もっとふんわりした意味のハーレムなんだろうなと思っていたら、意外とルディが肉食系で驚きましたが……(笑)、あくまで本妻はカテリナ王妃! それ以上はいけません!
次は騎士エヴァリーンのターンのようですね。騎士として凛々しくありつつも、案外可愛いところのある彼女と、どのように恋をしていくのか。次巻もたいへん楽しみです。


最近の野村先生のあとがきは、毎回心臓に悪いです……。くれぐれもお身体は大事に。