まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔剣の軍師と虹の兵団IV

ストーリー
ホルムの簒奪王アレクサンドルを撃退し、カラーラ半島に平和をもたらしたジュリオたち。
束の間の急速を満喫しつつも、ジュリオは魔剣ルーナにまつわる秘密を探るために故郷の村へと向かう。
一方、教皇ガブリエレ率いるサーヴァイン教皇国には、行方不明だったアレクサンドル、聖剣フォルトゥーナとその使い手ファウスタらが集結していた……。



性癖に問題のありすぎるド変態たちが国と世界の平和を救う英雄となっていくコメディ戦記ファンタジー、4巻にして最終巻。
正直もっとずっと読みたい作品だったのですが、綺麗な終わり方でしたね。
この変態どもが、自分の性癖のため「だけでなく」戦い抜いて、真の英雄となっていく姿に惚れ惚れしてしまいました。まあ差し引きでは余裕でマイナスだけど!


半島にようやく平穏が戻った……かと思いきや、教皇国サーヴァインから再び出兵したアレクサンドルたちが瞬く間にホルムとリューベックを併合、聖剣フォルトゥーナに操られたファウスタを皇帝として「虹の帝国」が成立。大陸を支配せんと再び半島に迫ります。
本当の聖剣が敵ということで、トレント女王ランは「偽りの女王」、魔剣ルーナも「災厄の子」と呼ばれ、人気に陰りが出てきてしまう大ピンチ。自己顕示のために神になったり、幼女に抱きつかれて恍惚としたり、自らを罵倒する童歌に興奮したり、女の子に踏まれて喜んだりしている場合ではないのです! あとうどんはそういう料理ではない!
でも、そこで全てが崩れてしまわなかったのは、これまでランたちが積み重ねてきたものがあるから。聖女だからではなく、トレントを解放した女王と軍師だからこそついてきてくれる人々がいる……出陣の場面には思わずグッときてしまいましたね。


リリアノの活躍によって敵の国力を切り崩したものの、まだこちらよりも遥かに多い軍勢との正面決戦。
聖剣に魔剣に神器の大盤振る舞いで、最終決戦にふさわしい派手な戦いになりました。
いやあもう、ロスヴァイセもエスメラルダも格好良すぎてずるい! 超ナルシストと超ドMとは思えない!
そしてMVPは、もしかしたらトリスタンかもしれない……。娘を守るために戦場で叫ぶその姿はまさに愛の騎士。見事なロリコン魂だったぜ!
ロスヴァイセも、エスメラルダも、そしてトリスタンも、みんなどうしようもないド変態で、自分の性癖を満たすために戦ってきたみたいなところは正直あると思うんですけど、決してそれだけではないんですね。普段の言動が残念すぎて隠れがちですが、それぞれの守るものや、仲間たちのためにという思いも大いにある。改めてそれを感じさせてくれる戦いでした。
ラストにふさわしく、ランや、もちろんジュリオとルーナも大活躍で、気持ちのいい大団円となりました。
最後の最後まで女王が想像妊娠したりしてましたが、それもまた彼ららしさということで。本当にずっと笑わせてくれた楽しいシリーズでした。ありがとうございました。


奴の想いが成就するなんて、誰が予想していただろう……。