まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女

ストーリー
能力者の養成校に通う貴族でありながら、マナを持たない特異な少女メリダ=アンジェル。
彼女の才能を見出すため、家庭教師としてクーファ=ヴァンピールが派遣される。
しかしクーファは、メリダに才能が見いだせなかった場合、彼女を暗殺するという任務を同時に負っていた……。



第28回ファンタジア大賞<大賞>受賞作品。公爵家に生まれながらなぜか能力が発現しない「無能才女」な少女を、暗殺者の少年が家庭教師として鍛えていく教官×バトルアクション。
良かったです。ひたむきに頑張る女の子と、そんな彼女の姿に感化されて本気になった主人公の師弟関係が熱いですね。
ヒロインが13歳、主人公が17歳ということで、ちょっとした年の差カップル的なおいしさもありました。いたいけな女の子を毒牙にかける悪い大人……!


太陽も星もない暗闇に包まれた世界で、人々は大都市フランドールに寄り集まって闇に潜む敵からお互いを守りながら暮らしている、という舞台設定。
その敵、ランカンスロープと呼ばれる怪物たちと戦えるのは、選ばれし貴族の血筋にのみ現れるマナの力だけ。
そんな中、ヒロインのメリダは、貴族の中でも最強と言われる《パラディン》の公爵家に生まれながら、なぜかマナの力を発現することができずに家族や学院のクラスメイトから蔑まれている女の子です。
彼女の才能を開花させよ、もしできないのなら母親の不義の子であるから暗殺せよ……そんな極端な任務に就くことになった裏ギルドの暗殺者が主人公のクーファなのですが、苛められても痛めつけられても健気に頑張って目標を追いかける彼女の姿に、完全に情が移ってしまうのでした。
いやあ、出会った瞬間に13歳の女の子に一目惚れしかける暗殺者もどうかとも思うんですが、外見を置いておいても、このメリダという女の子は実に魅力的なんですよ!
素直で無邪気でちょっとおてんばで、周囲からの扱いに傷ついて、でも決して諦めないでまた頑張る……。クーファが落ちるのも仕方ない、見ているだけでつい応援したくなってしまうヒロインなのです。


クーファによる裏ワザと渾身の指導によって、遂にマナの力を得たメリダ。学院の公開試合で、満を持してその成長ぶりを披露してくれます。
あれだけバカにされたり哀れに思われたりしていた彼女が、ここぞというところでみんなをアッと言わせる展開は、分かっていても実に爽快でしたね。観覧席で教え子の戦いに一喜一憂する暗殺者さん(笑)が面白かったです。
そんなクーファは、愛しの教え子をつけ狙う謎の集団と接触、そして戦闘。家庭教師仲間(?)のロゼッティと組んで、学院生たちとはまたレベルの違う戦いを見せてくれました。
最初の一歩を踏み出したものの、メリダの夢への道のりはまだまだ遠い先。もはや一蓮托生の身となったクーファと二人三脚で、エリーや学院の新しい友人たちとも競い合いながら、どんどん高みへと羽ばたいていってもらいたいですね。
それから、先生と生徒の恋愛にももちろん期待しています! クーファはどう見てもメリダにゾッコンなわけですが、とかくこっちの方面には初々しいふたりがどんなニヤニヤを見せてくれるのか、次巻が楽しみですね。


イラストはニノモトニノさん。丁寧かつ細やかに描かれた表紙がとても素敵ですね。
13歳のサービスシーンも魅惑的でよかったです。


ネルヴァさんの髪の毛をビヨンビヨンってしたい。