まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?#04

ストーリー
妖精兵クトリ・ノタ・セニオリスは消滅し、ヴィレム・クメシュ二位技官は妖精兵ネフレンと共に闇に呑まれた。
目を覚ましたヴィレムとネフレンは、自分たちが五百年以上前に滅びたはずのゴマグ市にいることを知る。
そこには、ヴィレムが過ごした養育院と子どもたち、そしてかつて約束を交わした娘・アルマリアの姿があって……。



前巻の衝撃から一転、謎の敵の能力によって、かつての地上を再現した夢の世界に閉じ込められるヴィレムとネフレン。
現実ではない、夢の中だ、それは分かっていても、つい最愛の「娘」アルマリアのために動いてしまうヴィレンが切ないですね……。
個人的に一押しのネフレンが実にいい相棒役をやっていて嬉しかったです。もちろん、クトリのことを忘れたわけではないけれど。


クトリがいなくなった……その悲しみも冷めぬまま、今までとは大きく異なる方向へと展開していくストーリー。
今回はなんと地上編。なんらかの能力に巻き込まれたヴィレムとネフレンは、ヴィレムの記憶通りの人間の街、ゴマグ市で目を覚まします。
遥か昔に滅びたはずの街並み。人々。何より、ヴィレムを「おとーさん」と呼ぶ愛しの「娘」、アルマリア。全てが生きて動いて目の前にある。
かつての輪の中に戻ったヴィレムはとても自然で、穏やかで、アルマリアや子どもたちたちとのやりとりを見ているとほっこりとしてくるのですが、でもそれはやっぱり夢の世界の話で……。うーん、苦しい。
表には出さないものの、恐らく内心大嵐状態だろうヴィレムの隣で、いつものようにクールに、そっと付き添うネフレンがとてもいい味出してました。ヴィレムについて、アルマリアと交わした約束も良かったですね。こういうのぐっときちゃう。


間近に滅びが迫る中、少しずつ広がっていく不穏な空気と、繰り広げられるいくつかの戦闘。どこからやってくるのか分からない、でも確実に近づいている滅びの気配が、胸をざわめかせます。
そしてついに始まる、始まってしまう、<獣>の襲撃。たとえ夢の世界の出来事だろうと、目の前にあるものを救わない手はない。それでこそヴィレムだ、というところなのだけれど、歴史上滅びは確定してしまっているというのが、また切ない。
そんな中、過去の現実と、この夢の世界との差異をようやく見つけて……ああ! というところで、次巻へ続くんだから、たまりません。
ヴィレムを知る緋色の髪の少女のことや、空に残された妖精たちのこと、謎に満ちたラストシーンなど、気がかりなことばかりです。次は少しでも幸せなことがあるとよいのですが……。


かつての仲間たちとの冒険がもっと見たい! 特にエミッサさんが気になる。