まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

キズナの姫と生徒会騎士団

キズナの姫と生徒会騎士団 (角川スニーカー文庫)

キズナの姫と生徒会騎士団 (角川スニーカー文庫)

ストーリー
とある世界で、異能力「キズナ」を発現し、姫を守る近衛騎士だったはずが、現代日本に転生してしまったユウリ。
過去の記憶を取り戻したユウリは、現世での生活に戸惑いながらも、姫やかつての仲間たちと生徒会役員として働いていく。
姫と幼なじみということになっていたユウリは、彼女とのあまりに近い距離感に戸惑うのだが……。



ファンタジー世界で姫を守っていた騎士たちが、現代日本の高校生になって生徒会役員に!
面白かったです。前世(?)とのギャップに戸惑いつつも、幼なじみになった姫を守るために一生懸命な主人公が微笑ましいですね。
前世の記憶のない姫との間の距離感のズレが生んだ、ふたりの想いのすれ違いにキュンキュンですよ!


主人公・ユウリは、かつてファンタジーな異世界で姫を守る騎士として働いていた少年・ユウリ。
ある朝彼は、自分が突然、現代日本の高校生になってしまっていることに気付きます。しかも、幼なじみとして一緒に登校しているのは敬愛する姫様その人!
せめて、前世の記憶を取り戻す前のことを覚えていればよかったのに、生まれてからそれまでのことをまるっきり忘れて前世の記憶だけになってしまったものだから、もう大混乱ですよ。まあ、過去の彼も元々中二病だったということでどうにか誤魔化せたのが救いですが……(救えてない)。
しかし、このパターンも面白いですね。逆異世界転生とでも呼びましょうか。といっても、彼らのものが本当に転生なのかどうか、まだ微妙なところではありますけど。
姫を守るために戦いに明け暮れていた騎士たちが、平和な世界で、ごく普通の高校生たちのような青春を過ごす。異能力自体は、弱まりつつもまだ持っているけれど、それで敵を倒すでもなく、ちょっとした手品として、みんなを楽しませるために使うくらいで……。
元の世界とは違っても、彼らがこうやって幸せに平穏に暮らせるのなら、それでもいいのかもしれないなあ、なんて思うのでした。


さて、ユウリの他に過去の記憶を持っているのは、姫以外の生徒会役員、レンジ、カレン、シズル、シンの4人。
それぞれ記憶を取り戻した時期は違えど、みんな現代日本に順応している中、ひとり暴走するユウリの姿が実にイタい!
肝心の姫が記憶を取り戻していないというのがまたネックで、今までの幼なじみ感覚のままで付き合ってくる姫とではお互いの距離感がつかめなくって、すれ違っちゃうふたりの姿がもうたまらなくムズムズしちゃいます。
でも、記憶があろうがなかろうが、ユウリが姫のことを大切に思っていることに変わりはありません。主従から幼なじみへ、だいぶ間柄は変わったけれど、姫の隣で彼女のために頑張るユウリを見ていると、つい応援したくなってしまいますね。
一大イベントの文化祭を乗り越えて、ようやく生徒会にも慣れてきた様子のユウリ。姫との関係もちょっとだけ前進したみたいだし、さらなる発展が楽しみなところです。もちろん、ユニークな騎士団の面々のそれぞれの活躍にも期待しています。次は夏休みかな? 修学旅行かな?


イラストは悠久ポン酢さん。姫やカレンはもちろん可愛い、のですが……。
ちょっと、女装ユウリさんの破壊力が凄まじすぎませんか……ドキドキしちゃったんですけど。


ナチュラルに変態な妹ちゃんが好き。