まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜殺しの軍師 〜とある詐欺師の英雄譚〜

ストーリー
伝説の軍師・白銀のエシルの名を騙り、タダ飯にありついた詐欺師カイル。
村から山賊を追い払ってほしいと頼まれたものの、前金だけもらって逃げ出すことに失敗してしまう。
貧弱な村人たちを率いて本当に山賊に立ち向かうことになってしまったカイルだったが……。



伝説の軍師の名を騙った詐欺師が、なし崩しで本当に軍師として働くことになってしまう戦記ファンタジー。
面白かったです。詐欺師のはずが、試しに軍師としてやってみたら意外と才能があって上手くいっちゃうのが愉快ですね。
詐欺師のわりに全然非情になれないところも好感の持てる主人公でした。


巷で伝説となっている軍師、白銀のエシルの名を騙り、前金をもらったらとんずらを狙う詐欺師・カイル。
しかしいざ依頼主の村に行ってみたら、前金がもらえなかったどころか、村人たちへの情にほだされて本当に山賊と戦うはめに!
いやあ、カイルは妙な魅力のある主人公ですね。詐欺師なのに、助けを求められたら結局応えちゃうあたり、本当に詐欺師なのか不思議なくらいです。金だけもらって逃げるぞ、なんて露悪的なことばかり言っているわりに、案外自分の命を懸けて戦いに赴いたりもしちゃうし。
何より、なんだかんだで才能に恵まれているというのがまた。軍師としても戦士としてもそれなりにやれちゃいそうで、天性のものを感じました。今後化けそうな主人公です。


そんなカイルの隣にいる少女・エリーですが、彼女の正体こそが白銀のエシルっていうんだから面白いじゃないですか。
伝説の軍師なのだから、さぞかし凄いところを見せてくれるだろう……と思いきや、弟子と見込んだカイルに全てを任せて観察するばかりの彼女。
あくまで自分は詐欺師だと言い張るカイルと、自らの後継者として彼を育てようとするエリー。ふたりのいびつな師弟関係がどう発展していくのか楽しみなところです。
それから忘れてはならないのが、カイルがいよいよ軍師として羽ばたくきっかけとなるであろうフィリス王女の存在。
結局ですね、惚れた女のためなら働きたくなっちゃうわけですよ。まあ色々とタイミングに救われたような気もしますけど、曲がりなりにも詐欺師の彼がここまでやるってことは、つまりそういうことなんだろうなと思います。
フィリスの下、軍師として力を発揮してしまったカイル。軍を操る楽しさを知ってしまった彼が、これからどんな風に軍師の道を歩んでいくのか。そして、自分が白銀のエシルではないということを、いつ王女様に明かすのか。そのあたりに注目しつつ、次巻を待ちたいと思います。


イラストはまりもさん。女の子の表情に不思議な色気があって好みのイラストでした。
ザハードのおっちゃんもカッコいいですね!


髪切る系ヒロイン、好き。