まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

サ法使いの師匠ちゃん

サ法使いの師匠ちゃん (GA文庫)

サ法使いの師匠ちゃん (GA文庫)

ストーリー
かつて異世界から召喚され、アークレシア王国を救ったと言われる伝説の存在、サ法使い。
落ちこぼれ魔法使いのジェラールは、自分の師匠になってもらおうとサ法使いの召喚に挑む。
ところが召喚できたのは、特に魔法も使えない普通の女子高生で……。



第7回GA文庫大賞<優秀賞>受賞作品。
才能に恵まれない魔法使いの少年と組んだ現代日本出身のヒロインが、持ち前の胡散臭いコミュニケーション技術を用いて異世界を蹂躙するファンタジーコメディ。
面白かったです。軽快かつ読みやすいギャグと、キャラクターが立ちまくっているヒロインが楽しいお話でした。
特になんの力も持たない女の子のはずなのになぜか誰にも負ける気がしない、ヒロインの謎の安心感よ……。


主人公は、魔法学校を落ちこぼれてしまった魔法使いのジェラール。
王国に伝わる伝説の「サ法使い」に教えを請おうと、わらにもすがる思いで召喚したら、出てきたのは普通の、いやむしろちょっと胡散臭い感じの女子高生でした……!
詩子と名乗った彼女は、もちろん魔法なんて使えないわけですが、人をその気にさせたり、逆に不快にしたりする喋りのテクニックだけはピカイチ。
はっきり言って詐欺師の技術っぽいその手腕で、手持ちのネックレスをできるだけ高く売りつけたり、相手の魔法の邪魔をしたりと、魔法世界の住人たちを次々に手玉に取っていくのが気持ちいいですね。
詩子は、いきなり異世界に連れてこられたわりには楽天的で明るくてハイテンションで、無駄に自信満々という、だいぶとんがった女の子です。でもそれで、自信の通りに結果を出してみせるんだから凄いんだ。


ジェラールとコンビを組んで、御前試合の魔法部門に出場する詩子。
特訓のおかげで思わぬ力を出せるようになったジェラールと、とにかく騒ぎ立てて相手の魔法を散らす詩子のコンビが、純粋な魔法力の強さを鼻にかける連中をなぎ倒していく展開は実に小気味いいですね。
まあ、セコいっちゃセコい戦い方なんですけど! それでもなんか憎めないのが、詩子のキャラクターの為せる技というところです。
最後にはとんでもないものまで敵に回しちゃっていましたが、それでもなぜか詩子が負ける気がしないから不思議。一般女子高生のはずが、どうしてかこの世界では無敵に見えるんですよね。ほんと、不思議な魅力のあるヒロインでした。
さて、この愉快な女の子が次はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。ジェラールとロザリアとで、また賑やかにワイワイと楽しませてくれることと思います。次巻に期待です。


イラストは狐印さん。詩子の表情が実に豊かで楽しかったです。
あとロザリアのおっぱい。


さらっと変態な姫殿下のことがすごく気になるんですけど!