まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 3

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ (3) (MF文庫J)

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ (3) (MF文庫J)

ストーリー
実機データ収集のため、無人島への遠征に赴く氷室義塾機兵部の面々。
ところが謎の武装組織とマリスの襲撃を受け、なんとかこれを退けるも、エイルンは重傷を負ってしまう。
依然不安定なままのセレンの状況を鑑み、雷鳥国際連合所属のマリス鎮圧部隊【ロイヤルガード】の派遣を決定するのだが……。



1巻ではエイルン&エルフィーナが、2巻では葵&鬼灯が活躍しましたが、3巻は満を持してのセレン&デストブルムのターン!
いやあ、今回も最高でした。手を替え品を替え、3巻まで全く色褪せずに、毎回この熱さを保ち続ける凄まじさたるや……。
エイルンがあまり動けなかった代わりに、我らがヒロイン・エルフィーナさんが予想外の出方をしてきて驚きました。貴女そんなこともできたんですか!


遠征先で襲撃を受け、自分の身ひとつで機兵部全員の命を救った結果、(一般人なら)全治3ヶ月という重傷を負ってしまったエイルン。
セレンとデストブルムはまだ動けるような状態ではありませんが、今氷室義塾が置かれている立場を考えて、心を鬼にして特訓を強行する紫貴。でも気弱なセレンが、それで上手くできるはずもなく……。
こうしてみると、エイルンが来てからの氷室義塾は、本当に彼1人の活躍だけでもっていたのだと思わされます。
紫貴への反発から生途会や機兵部の雰囲気もどんどん悪くなっていくし、エイルンはほとんど目覚めないし……重苦しい展開が続きました。
そんな中、エルフィーナがまさかの【チビフィーナ】モードを初披露。姿を隠して愛するダンスパートナーの傍にそっと寄り添う彼女の姿には、グッとくるものがありました。エルフィーナの会話が大好きなもので、戦闘中ではない彼女の素のお喋りが見られて嬉しかったです。本当にお洒落なロボットだなあ。


エイルンの回復を待つことなく、クイーンが来襲。案の定というかなんというか、予定外の罠にかけられてかつてない窮地に陥る氷室義塾。
ここまで必死にやってきた紫貴も、もう打つ手がなくなってしまって、セレンを守れる人が誰もいない。そしたら、誰がやる? そう、それはもちろん……。
それにしても、ここで本当に立ち上がっちゃうんだもんなあ。ヒーローってのはさ。
体はボロボロで、いつもよりも数段切れ味の悪い戦いぶりだけれど、やっぱり悔しいほど格好良い。エルフィーナの「お着替え」も最高でした。こんなんずるいでしょ!
何よりも大きいのは、ヒーローが活躍すれば、周りの皆に力が湧いてくるということ。あんな体で戦っている隊長に任せてしまっていいのか、いやそんなはずはない。
葵が、大地・オルソン・山武が。生途会の面々が。そしてセレンが。彼に救われてきた人たちが、彼を救うために戦う。その熱さに、もう震えるしかありません。
特にセレンですよ。彼女の溢れるほどのエイルンへの思いが、ようやく花開きました。見た目はラスボス感満載のデストブルムですけど、みんなを守るためのその戦いぶりは、文句なしに主人公でした。
さて、大ピンチを脱した氷室義塾ですが、黒幕はまた次の陰謀を画策している様子。マリスだけではない新たな「敵」に対して、エイルンが、セレンが、みんなが、どう戦っていくのか。新型機のことや、残るテンナンバーのこと、紫貴とエイルンのことなど、気になることもいっぱいで、次巻も楽しみで仕方ありません。


「閃光の八」さんのイラストが格好良すぎて惚れちゃいそう。