まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

戦華の舞姫 戦華ノ姫君ハ汚レナイ

戦華の舞姫 戦華ノ姫君ハ汚レナイ (オーバーラップ文庫)

戦華の舞姫 戦華ノ姫君ハ汚レナイ (オーバーラップ文庫)

ストーリー
大国に挟まれた弱小国アルトスの新米国王・アルノア
彼は防衛戦からの帰還直後、二つの隣国の「舞姫」との、それぞれ一ヶ月ずつのお見合い話を持ち掛けられる。
ところが手違いで、花嫁候補が二人同時にやってきてしまい……。



第2回オーバーラップ文庫大賞<銀賞>受賞作品。
小国の王である主人公の下に、一騎当千の「舞姫」が2人同時に押しかけてくる、お見合いラブコメ×バトルファンタジー。
剣技に長けた姫と、魔法に長けた姫。それぞれ母国から任務を帯びた2人の姫が、次第に主人公との間の絆を深め、国王として力不足な主人公を助けていく展開にワクワクしました。
文章にはかなり粗があって読みにくい部分も多かったのですが、今後のストーリー次第で化けそうな作品ですね。
力の入った表紙や帯もさることながら、花びら舞い散るページの装丁が素晴らしくて、新人賞を売り込もうという意欲を強く感じました。素晴らしい。


主人公・アルノアは、弱小国アルトスの国王として即位したばかりの少年。
そんな彼の下に、隣国フレイアとサブデラから、それぞれ1人ずつお見合い相手の「舞姫」がやってきます。
かつて世界を救った戦女神の力を受け継ぐ舞姫は、世界に7人しかいない存在。シャロンもレスフィーナも、1人で大軍を相手にできる強大な力の持ち主です。
初めのうちこそ、アルトスを暗殺するのが目的だったり、懐柔して愚王に仕立てあげるのが目的だったりした両姫。
しかし、共に生活する中で少年の優しさに触れたり、自らのことを語り合ったりする中で、確実に心の距離は縮まっていきました。
ツンツンしてるわりに案外チョロいシャロンも可愛いけれど、わりと最初からデレモードだったレスフィーナが、個人的にはお気に入りですね! 物静かながら主人公を手に入れることには貪欲で、ドキドキしてしまいます。


アルノアは、全奴隷の解放といった立派な志は持っているものの、どうも国王としては頼りないというか、詰めが甘いところの多い主人公です。
年頃としてはまだまだ少年ですからね。シャロンに対する不器用さなんかも、思春期男子として見ると微笑ましいけれど、これが1つの国の国王なんだと思うと、やっぱり残念さが先に来ます。
ただ、人間としていい奴なのは確かですし、そんな弱い国王だからこそ、シャロンもレスフィーナも、共に戦おうと思ったのかもしれませんね。
実は魔王の血を引くというアルノアと、舞姫とが接触することで大きな力を呼び出す【神への反逆】。ちょっとエロい……のはまあ置いといて、この力が、アルノアと2人の姫に、そしてアルトスに何をもたらすことになるのか。これからの展開に期待です。


イラストは猫鍋蒼さん。なんといってもこの美麗な表紙! 素晴らしいのひと言です。
本文中イラストも、それぞれのヒロインが実に魅力的に描かれていました。見開きもGOOD。


別に、リリシアさんに溺れるエンドでもいいんですよ……?