まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

紙透トオルの汚れなき世界

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
全く接点のなかった学年のアイドル・曾々木小夜子からいきなりデートに誘われた里谷リト。
ラブラブデートを楽しむふたりだったが、そのデートは学校の先輩・栞によって仕組まれたお芝居だった。
傷心の中、リトは街中でひとりの奇妙な少女と出会い……。



第4回講談社ラノベ文庫新人賞<大賞>受賞作品。
強力な超能力を持ち、世界を作り替えようとする女の子を、仲間たちや家族の力を借りて阻止していく、恋心渦巻く不思議青春ストーリー。
面白かったです。ちっちゃな恋で、世界がピンチになったり、救われたり。女の子たちの思いのパワーを感じる作品でした。
天然ジゴロなリトと、読心能力持ちのヒロイン・小夜子の、カップル未満なイチャイチャがとてもよかったですね。


密かに気になっていた学年のアイドル・小夜子ちゃんからデートに誘われたと思ったら、全部先輩が仕組んだお芝居だった!
いやあ、正直いきなり主人公のリア充度が高すぎて読んでいて目が虚ろになりかけていたんですが、一安心しました(笑)。まあ結局、両思いは両思いなんで、彼がリア充なのに変わりはないんですけどね……。
デートでリトを釣った栞先輩が教えてきたのは、超能力を持った人々「継人」と、人間の心の底の夢を叶えてしまう「夢の木」、そしてそれらの管理組織「剪定社」の存在。
たまたま栞先輩の妹・トオルちゃんと仲良くなっていたリトは、世界を「夢の木」の力で変革しようとする彼女を説得する役回りを仰せつかることになります。
小夜子ちゃんも、栞先輩も、生徒会長も、それぞれ継人なわけですが、ここでラブコメ的に重要なのはなんといっても小夜子ちゃんの読心能力ですね!
最初のデートの時と全く違って素はクールキャラだった小夜子ちゃんですけど、だからこそ、リトの心を読んで笑ったり呆れたり、ときどき照れたりする姿がもう可愛くて可愛くて。気が強いようでストレートな言葉に弱いところもたまりません。いいな……読心系ヒロイン、すごくいいな……。


栞先輩たちの指示で、トオルちゃんと彼女の友人・香織ちゃんで結成された「変革委員会」に近づくリト。
この香織ちゃんがまたえらく素直で明るくて可愛い子なんですが、それよりも問題はトオルちゃんの方ですね。
その天然ジゴロっぷりを存分に発揮して、トオルちゃんの心に見事に住み着いてしまったリトは、本当に罪な男です。これはさすがに、トオルちゃんが不憫すぎる……。
リトの兄(引きこもり)や、父親(女遊びのせいでバツイチ)も思わぬところで絡んできて、なんとか一大事は避けることができたわけですが、まだ明かされていない謎がいくつか残っていますね。
あとがきによれば続刊で描かれるということですから、そのあたりにも期待しつつ、小夜子ちゃんやトオルちゃん、そして栞先輩の恋のさや当てを楽しみに待ちたいと思います。


イラストはのののさん。ガッツリ目を引く栞先輩の胸部。ごめんよ小夜子ちゃん。
もちろん小夜子ちゃんも可愛いです。三つ編みくるくるしたいです。


生徒会長はなぜこうなってしまったんだ……。