まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

偉大なる大元帥の転身 出直し召喚士は落第中

ストーリー
平凡な学生だったケータは、異世界ディルスマグナに召喚され、なぜか魔王の腹心として働くことに。
魔族と人間との和平が成立したため、ケータはその正体を隠し、強大な魔力を封じて元の世界に戻る方法を探し始める。
自分を召喚した人物を探すために召喚学院に入ったケータだったが、ヒトが操る術式はなかなか上手くいかなくて……。



異世界に召喚され魔王軍の大元帥として働いた少年が、ヒト側の召喚学院で落ちこぼれ生徒として頑張るファンタジー。
面白かったです。召喚士としては落ちこぼれだけれど、実は絶大な魔力を隠し持っている主人公に、中二心をくすぐられました。
いけ好かないエリート連中と、冒険の中で協力していくのも胸アツでしたね!


異世界に召喚されて最初に魔王と出会ってしまった主人公・ケータ。
魔王軍の大元帥「黒仮面のヴェーレス」として人間の国を蹂躙しまくり、快進撃を続ける中で突然の和睦が成立。ケータは元の世界に戻る方法を調べるために人間側の召喚学院へ入学します。
もちろん正体がバレたらただじゃすまないから、本当の力を見せるわけにはいかないのだけど、一方ケータには召喚士としての才能が乏しく、さらに討伐対象の魔物たちを不憫に思って密かに逃がしたりもしているから、結果学校一の落ちこぼれ生に。かつて人間を恐怖に陥れた大元帥が、人間の学院でヒーヒー言っているギャップが面白いですね。
周りにはケータをバカにする生徒でいっぱいで、まあイラッとはするんですけど、お前ら本当の彼の姿を見たら腰を抜かすぞ、と思うとそこまで腹も立ちません。余裕があるって大事です。
一方そんな中で、ケータの成績をなんとかしようと努力を惜しまない学年首席・イリスの魅力も光っていましたね。天才少女のライラと並んで、どちらがメインヒロインになっていくか楽しみなところです。


旧魔族大元帥の城を調べる調査団の一員に、エリート生たちに交じってなぜか選ばれてしまったケータ。
やたら魔族のことや城の内情に詳しいのを、苦しい言い訳で乗り切る姿が笑えます。
みんなにとっては冒険だけれど、ケータにとっては実家帰りみたいなものですから、緊張感がまるで違いますよね。まあ、ケータにはまた別の緊張感があったようですが……。
思わぬ魔物との出会いに大混乱に陥る調査団。窮地に陥って初めて協力することを覚えるエリートたち。イリスはもちろん、トッドや、リアルドとバルドの双子、そしてビムと、意外にいい奴の一面も見えてきて熱い展開でした。
結局ケータがみんなを救うために力を発揮して、なんとか陰謀を食い止め、そして正体もバレずに済んだわけですけど……。この調子では、いつまで隠しておけるのか分かったもんじゃないですね。
“再装着の条件”を満たした女性や、魔王の思惑、ケータの召喚主など、気になる謎が山積みです。次巻が楽しみ。


イラストはともぞさん。魔王フードゥーが可愛いのでもっと出番がほしい!
イリスのダイナマイトボディも素敵でした。


ミーケルウスちゃんと一生自堕落に過ごしたいぞ。