まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

七日の喰い神

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

ストーリー
人間に害をなす禍々しい神々“マガツカミ”が跋扈する国。
マガツカミを追っては討伐する青年・古川七日と、“喰い神”の少女・ラティメリアは、依頼を受けてゴミ捨て場の島へと降り立つ。
そこで出会ったのは、人間でありながらマガツカミと友だちになろうとしているひとりの女の子で……。



世の闇に紛れて人間を喰う「マガツカミ」と戦う青年と、彼の相棒(?)にして自身もマガツカミである「喰い神」の少女が織りなすダークバトルストーリー。
面白かったです。主人公と少女が出会い葬っていくマガツカミそれぞれに、切ない物語があるのがいいですね。
ヒロインが主人公を喰おうとし、主人公はそんな少女を無理やり従わせるという、異色のコンビネーションがいい味出してました。


思いの詰まったモノを依り代として生まれる「マガツカミ」。生まれ落ちては人を喰う、人類の敵。
ヒロインのラティメリアは、そんなマガツカミのひとり「喰い神」でありながら、マガツカミを討伐して回る主人公・七日とコンビを組む少女です。
うーう、ユニークなヒロインですね。常に七日を喰おうと画策していて、ふとした隙に本気で襲いかかったりもしているのだけれど、普段のやりとりからはまるでそんな殺伐とした関係には見えなくて、ともすれば兄と妹のようにも思えてきます。
ラティメリアは純粋に七日を食べたいだけで、性根が邪悪なわけではないので、無邪気でとても可愛らしくもあるんですよね。変身した姿にいちいち名前をつけてもらうのとか微笑ましい。むしろ七日の方がよほど邪悪な気がします。


収録されている三話でふたりが戦ったのは、「冷やし神」「歌い神」「化け神」といったマガツカミたち。
個人的に好きなのは第一話ですかね。ある女の子が友だちになろうとしたマガツカミ「冷やし神」の不気味さがたまりません。バッドエンドとは言わないまでも、すっきりとはいかない後味で読み応えがありました。
結局今回は、七日がマガツカミを執拗に追う理由や、祈祷士をやめた理由、そしてラティメリアと共に戦うことになったきっかけなど、ほとんど描かれないまま終わりましたね。
第三話で出会った「立花のマガツカミ」が、どうやら七日のメインターゲットのようですが……正直、ラティメリアよりも七日の方がずっと謎に包まれています。
ふたりの過去にどんな事件が起こって今に至るのか。次巻以降で明かされていくのが楽しみです。


イラストはnauribonさん。各話の変身ラティメリアが毎回可愛い!
ラティメリアさんコーナーも楽しいですね。


ウミネコ・サキちゃんの明日はどっちだ。