まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

レオ・アッティール伝II 首なし公の肖像

ストーリー
大国アリオンコンスコン寺院攻略軍指揮官にして因縁の相手、ヘイデンに宣戦布告を叩きつけたアトール公国第二公子レオ・アッティール。
自由に動かせる一兵たりとて持たないレオは、まずは自らの手勢の獲得を目指す。
そんな折、アリオンと双璧をなす大国、聖ディティアーヌ連盟がついに動きだし……。



コンスコン寺院の戦いをきっかけにして、公子レオが羽ばたいていくまでを描いた第2弾。
アトールアリオンとディティアーヌ、各国の裏をかく一種汚い手を使いながらも目的を達成していくレオは、ようやく主人公らしく見えてきました。
まだまだ甘いところもあって、発展途上を感じさせるけれど、今後のさらなる活躍に期待というところでしょうか。


アトール公王とヘイデンの前でフロリーとの婚約を発表してみせたレオ。
フロリーを狙うヘイデンから挑発されたのがきっかけとはいえ、子供っぽいといえば子供っぽい。まあ相手もそうだから、お互いさまなんですけど。
しかしそれからのレオの働きっぷりは見事でした。ただ喧嘩をふっかけるだけじゃなくて、きちんとヘイデンに勝つために行動している。若者らしい熱さと、将としての冷静さを両方備えているのが、彼の魅力ですね。
コンスコン寺院を狙うヘイデン率いるアリオン軍。公王も貴族も及び腰で動こうとしないアトール。隙を突いて参戦しようとするディティアーヌ。
三国の思惑が渦巻く寺院を救い、ヘイデンを討つためにレオが思いついた策は、お世辞にも綺麗とはいえないものでした。カミュの反発もよく分かります。
でも限られた戦力でヘイデンに立ち向かう、唯一の策でもありました。どんな手を使ってでもアリオンに勝とうとする強い意志。それは今のアトールにはないものです。少年が、英雄になろうとしています。


コンスコン寺院の戦いでは、レオの策がうまくはまった部分も、そうでない部分もありました。
初めての戦ですし、当たり前ではありますけど、レオは神のような軍師という具合ではないようです。
一方で、パーシーやカミュといったレオの部下たちの活躍が目立ちましたね。特にカミュは、色々と吹っ切れたのか獅子奮迅の戦いぶりでした。クオンは、ちょっと不完全燃焼でしたが……。
ギリギリの綱を渡りきったレオたちですが、もちろん一度の窮地を脱しただけで、アトールの情勢がよくないことに変わりはありません。
次の敵を定めたレオが、今度はどのような手を打ってくるのか。続きが楽しみです。


セーラの出番が少ない悲しみ。