まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

マグダラで眠れVII

ストーリー
錬金術師たちの次なる目的地は、太陽の召喚により一夜で滅んだというアッバスの町。
クースラは、長く旅を続けていく中で巡り合った旅の同伴者たちに、居心地の良さを感じていた。
アッバスに着いた一行は、書籍商を名乗る男フィルの協力のもと、天使が残した『太陽の欠片』の調査を始めるが……。



伝説の白き天使たちが町をひと晩で焼いたという「太陽」を再現するべく、あれこれと化学実験に勤しむ第7弾。
語り継がれてきた口伝やその地に残るお祭りの内容からヒントを得て、大昔の人々のやり方を想像していく、錬金術師たちの地道な、でも楽しそうな実験の数々にワクワクしました。
クースラとフェネシスがラブラブなのはもはや語るまでもないくらいなのですが、今回も大変ニヤニヤさせてもらいました。


フェネシスの遠い祖先であろう、「天使」たちの足跡を追って北の果てまでやってきたクースラたち。
貴重な手がかりである「太陽の欠片」がどんな性質を持つもので、どうやってそれで「太陽」を生み出すのか、試行錯誤を繰り返す4人での実験の日々。
そんな中で目についたのが、「眠らない錬金術師」ことクースラの確かな変化です。
フェネシスとのイチャイチャはもう恒例になっていて、まあそれはそれで実にいいものなんですけれども、イリーネはおろか、あのウェランドとまで、まるで友達かのように仲良くやっていて、ずいぶん丸くなったもんだと思わされました。一緒にいることで成長するのはフェネシスだけじゃなかったということですかね。
小さな変わりようにも見えますが、今、シリーズにおける重要なターニングポイントが来ているのではないでしょうか。彼のマグダラが揺れ動いている、というのは。


太陽の欠片、紫色の炎、白熊の肝、そして土。実験の中で次々に出てくるヒントと、そして成果と。
いやあ、楽しいですね。なかなか解けない謎の数々がもどかしい一方で、フェネシスのちょっとした発見や、クースラの一瞬のひらめきから実験が前に進んだときの快感がいい。これはハマる。もっとも、化学の知識があったらさらに楽しめたのかもしれませんが……。誰か解説してくれませんか。
世界を変える大発見は、意外と早くやってきました。まだ本の半ばだったので、ハッピーエンドには早過ぎると思ったら、案の定でした(笑)。
もっとも、ここからがクースラとウェランドの本気の見せ所です。追い詰められた錬金術師は白熊よりも怖いのだ。なんてったって、フェネシスとイリーネが囚われているのですから!
一度絶望に落とされてからの怒涛の反撃は実に今作らしい展開で興奮しました。冷静沈着なはずの錬金術師たちの、身を削っての熱い戦いっぷりに燃えます。
次巻ではいよいよ天使の伝説に決着が! ……つくのでしょうか? 物語も佳境に入ってきたのを感じますし、一層の期待を込めて、楽しみに待ちたいところです。


フェネシスちゃんと添い寝したすぎでしょ……。