まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京侵域:クローズドエデン 02.Enemy of Mankind(下)

ストーリー
ショットをほとんど失いつつも、“クリティカル・エリア”へと戻ってきた蓮次と叶方。
ところがスポットを抜けた先で救務庁の待ち伏せに遭い、叶方の正体がバレてしまう。
さらに、蓮次を狙う“金色の糸”までもが襲撃してきて……。



行方不明となった大切な人を取り戻すため、異界と化した東京に侵入を繰り返す少年と少女の絶望的探索アクションストーリー第2弾。
おお、良かった。逃げ惑うだけで終わった感のある前回に比べて、危険に追われながらも目的に向かって着実に進められていて、今後に期待の持てる展開でした。
地味で地道な探索ではあるんだけれど、いざというときにはお互いを信じて一歩を踏み出せる、ふたりの絆の深さが光った巻でしたね。


人工衛星ヒマワリ」と遭遇した前回の探索で、手持ちのショットをほとんど使ってしまった蓮次。
目指すスカイツリーまで辿りつくために残された手段はただひとつ。救務庁の第三次大規模探索作戦に合わせて、全体が戦場となった“クリティカル・エリア”の中を隙をついて突っ切ること。
あれだけ慎重に探索を進めておきながら、ここにきて行き当たりばったりの冒険ですか! いや、見てる方はそっちの方が面白いけど!
初手から救務庁に拘束されかけたり、前も合ったレイダーの少女に出くわして行動を共にすることになったり、救務庁正規チームの凄腕剣士・魚瀬と戦ったり、まあムチャクチャやってますが、ギリギリの綱渡りの連続で窮地をくぐり抜けていく緊張感がたまりませんでした。本当に手に汗握りっぱなしです。


元・秋葉原UDXビルに謎のレイダーが築きあげた地獄のようなダンジョン。
ショットを手に入れるためとはいえ、“金色の糸”ことツイスターに常時狙われながら、足手まといのキムラを連れて、魚瀬とデッドヒートしつつビルを上っていくってどんな難易度のミッションですか!
魚瀬はなかなか見どころのあるキャラクターでしたね。救務庁の人間なんてロクな奴がいないと思っていましたけど、彼女は一本芯を通した性格で結構好きでした。まあ、蓮次の兄・翔一と繋がってるところは、気にくわないんですけど……。
翔一は正義感の人ではあるんですが、蓮次のことを無意識のうちに下に見ているようで、好きになれないんですよね。彼は彼で、救務庁の裏側を調べていくようですから、いつか蓮次と鉢合わせる日が来るかもしれません。そのときの反応が楽しみです。
さて、目的に一太刀浴びせることに成功した蓮次と叶方ですけれども、ふたりの大切な人はまだ帰ってきません。
翔一の疑念や、救務庁の動向、そしてヒマワリの今後。さまざまな懸念点を抱えつつ、また新たな探索へ。次巻に期待です。


……今回だけで何本ショットしたんだろう。