まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士II

ストーリー
フランス姫太子シャルロットの姫騎士に就任したジャンヌは、モンモランシやアスタロトと共にオルレアンへと進軍。
亡命政府にとって最終防衛拠点であるオルレアンは、イングランド軍に包囲され、いまや陥落寸前だった。
賢者の石の力を手に入れて「ユリス」となったジャンヌに導かれ、辛うじて入城を果たす一同だったが……。



類まれな求心力で軍を率いるジャンヌが、決戦の地オルレアンで英雄へと成り上がってゆく能力バトル×歴史ファンタジー第2弾。
百年戦争の史実だけでなく、聖書やアーサー王伝説、さらんは独自の神話まで混ぜ込んでひとつの流れで結びつけるその豪腕っぷりには、まったく見事という他ありません。
こうして謎めいた神話が全て明かされてみると、アスタロトがどんどん愛おしく思えてきてしまいますね。


ほんのちょっとした援軍を連れ、敗北寸前のオルレアンへとやってきたジャンヌたち。そしてオルレアンの守将にはモンモランシの幼なじみ、バタールとアランソンが!
よもやのところで再会を果たした彼らですが……。イケメン騎士になっていたアランソンはともかく、女性恐怖症が進行しすぎてちょこちょこモンモランシに迫ってくるようになってしまったバタールさんが残念すぎる。やめて! 誰も得をしないから!
そんなモンモランシ自身も、毎日ベーゼを交わすジャンヌの色香(?)に惑わされないよう、「巨乳入門講座」なる謎授業を受講してみたりしていて、なんというかアンタたち窮地にいるわりに余裕ですね。いや、モンモランシ的には、ジャンヌを襲ってしまわないように必死なわけだけれども、真面目な顔して何やってんだ感がすごいぞ。
さて、肝心の戦争の方も、「ユリス」たるジャンヌが参戦してあっさり行くかと思いきや、意外とそんなことはなく。イングランド側の「ユリスを狩る者」グラスデールや、謎の「黒のユリス」ノワールに阻まれ、またも命を失う危機に陥ってしまいました。
フランス軍はみんな幼女が大好きらしくて(風評被害である)、ジャンヌのカリスマっぷりは圧倒的なんですけどね。それだけで済むほど、イングランド攻略は簡単ではありませんか。


ジャンヌを救うため、アーサー王の伝承に関与する賢者の石を求めて、故郷ブルターニュへと赴くモンモランシたち。そしてモンモランシは、オルレアンへの援軍を入手するため、ある決断を下しました。
この物語はあくまでジャンヌが主人公で、モンモランシはオマケだと思っていたのですが、決してそんなことはなかったのですね。神話から連綿と続くユリスの歴史の中で、すなわちアスタロトと共にずっとあったその歴史の中で、最後にモンモランシが果たす役割はとても大きなものでした。
モンモランシとアスタロト。ジャンヌとはまた別の固い絆で結ばれたふたりのやりとりが、胸に染みます。
一方、力を出しきれずにいるジャンヌを尻目に目立っていたのはラ・イルですね。困ったときに彼女を出せばなんとかなるというような具合の活躍ぶりでした。
そしてリッシュモンも。わずかな出番ながら、おいしいところを持っていってくれましたね。またモンモランシと肩を並べてくれる日が来ることを心待ちにしています。


どうしよう、アーサー王伝説読まなきゃ……。