まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

たま高社交ダンス部へようこそ

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

ストーリー
高校に入学したものの、何をするにも三日坊主になってしまうため、どこの部活にも入る気がなかった雪也。
ところが食べ物に釣られて思いがけず「社交ダンス部」に入部してしまう。
初めこそやる気のない雪也だったが、個性的な3人の女子部員のおかげで、だんだんと社交ダンスの楽しさにのめりこんでいく……。



第20回スニーカー大賞<特別賞>受賞作品。
今まで何も打ち込めるものが見つからなかった主人公が、ひょんなことから入部することになった社交ダンス部で、その楽しさに目覚めていく青春×学園×ダンスストーリー。
これは素晴らしかった! 部活ものってやっぱりいいですね。社交ダンスという見慣れない題材も新鮮です。
部活ものとしては、ある意味どストレートなお話展開ですが、ダンスへの情熱やみんなとワイワイやる日常など、きらきらした青春のひとときを爽やかに描いてくれました。


なんといっても魅力的なのは、ヒロインの璃子ですね!
幼少期からダンスをしていた彼女は、ダンスについてとてもストイック。でも過去にパートナーの男子と喧嘩別れをした経験から、頑なに男子とカップルを組もうとしない女の子です。
最初こそ雪也の入部に反対していた璃子ですが、雪也が毎日部活に来る姿を見て、少しずつ心を開いてくれるようになっていきます。
大会に出るときは、遂に雪也とカップルを組むまでになるわけですが、真面目でクールな表情の下に意外な素直さを見せてくれるときがあって、とても可愛らしいのです!
そしてそんな璃子や、部長だけれど初心者の珠実、先生役のフィオナと一緒にダンスをする中で、雪也は人生で初めてのめり込めるものを見つけます。
なにぶん初心者だから、何もかも分からないことばかりで大変そうですが、それ以上にとても楽しそう。知らない世界にイチから入っていくのって、何をするにもワクワクして、いいですよねえ。エネルギーに満ち溢れたティーンエイジャーの特権かもしれませんが。読んでいるこちらまで、社交ダンスを始めてみたくなりました。


珠実が立ち上げたばかりの「社交ダンス部」と、確かな実績のある「競技ダンス部」。なんとか実績を作るため、部の存続を賭けて大会に出場することを決める雪也たち。
競技ダンス部の方から同じ大会に出場してきたライバルが、璃子の因縁の元パートナーというのがまた熱い!
思いっきり上から目線で、しつこく璃子に言い寄ってくるライバル。璃子とは別に付き合っていたわけではないのですが、なんとなく元カレっぽく見えてしまってムカつくし、絶対に勝ってやろうという気にさせられます。男なんて単純なものだな……。
大会に向けて努力しているのに、なぜかダンスが噛み合わずにいた雪也と璃子。でも忘れてはいけない……ダンスはひとりじゃなく、ふたりで踊るもの。ふとした気付きから「一体感」を得ていくふたりの姿に、なんだか無性にドキドキしてしまいました。なんなんですかね、この清純なエロさは……。
大会の描写も素敵だったし、満足満足。今回は主に璃子とのスタンダード・ダンスが描かれたので、次は珠実とのラテン・ダンスも見てみたいですね。もちろんフィオナとのダンスも!
雪也と璃子の関係がどうなっていくのかも気になるし、次巻が楽しみでなりません。


イラストは伍長さん。表紙や口絵をひと目見て、女の子の可愛さにグッときました。
璃子のスタイルが絶妙に好みです。もっというと胸元のことでございます。


春樹さん、君、予想外の方向に吹っ切れましたね。