まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩 (HJ文庫)

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩 (HJ文庫)

ストーリー
大陸全土の統一を目論む大帝国・ウェーメリアの第五皇子ラウル。
彼は国家の象徴たる宝具を扱えないという欠陥から【帝国の屑星】と見下される存在だった。
それでも腐らずに自己研鑚を重ねたラウルは、やがて政略結婚の駒として、小国の姫君の下へ婿入りするのだが……。



親兄弟や家臣からも蔑まれてきた皇子が、小国の姫との結婚をきっかけにその秘めたる才を解き放っていくファンタジー戦記。
面白かったです。星神器なる国の宝具を扱えないために屑星と呼ばれ続けた主人公が、国の外に出てから成り上がっていくのが面白いですね。
ヒロインと1巻で結婚までしちゃうのも新鮮でよかったです。


帝国の屑星・ラウル。最高の軍略家と最高の剣士を師に持ち、自身も文武に非常に秀でていながら、ただ宝具が扱えないというだけで周囲はおろか国民からも屑星と呼ばれている少年です。
本音を隠すために身に付けたへらへらした態度のおかげでだまされそうになりますが、彼の心の中には大きな野望が。
そしてそれは、政略結婚に見せかけた計略の駒として帝国を出たことで花開いていきます。
何も知らずにラウルの政略結婚の相手となるのが、精霊を操る姫・ルシエ。
初めこそ噂の屑星との結婚に難色を示し、出会った瞬間に一騎打ちを仕掛けちゃうような彼女ですが、ラウルの才能や隠された野望を知っていく中で次第に彼に惹かれていく姿が可愛らしいヒロインでしたね。
ラウルについてきた部下のマリーベルとリハルトもそれぞれ味わいのあるキャラクターでした。


小物の兄・ボウテングの計略に乗っかった振りをして、逆に彼を計略に陥れていくラウル。
大して才能もないくせにあれだけ弟を嘲っていた兄に一泡吹かす。読んでいて実に気分のよい展開でした。
一方、そんなボウテングの下にも優秀な部下というのはいるもので、かつて帝国五神将と呼ばれた彼・バルカとの戦いは手に汗握りましたね。
ラウル自身もそうですが、マリーベルにリハルト、そしてルシエも武に優れているので、それぞれ迫力の戦いぶりを見せてくれていました。
特にラウルとリハルトのタッグが熱かったです。信頼する仲間に背中を預けて敵中へふたりで突っ込んでいく格好良さたるや。
何も力を持たなかった屑星皇子から大きな一歩を踏み出すことに成功したラウルですが、これから待ち受けているのは有能な兄たち。
まだ地方の一部を手中に収めたにすぎないラウルたちが、どうやって強大な帝国に対抗していくのか、続きがとても気になりますね。
戦場での戦術的な駆け引きを書いてみたい、とあとがきにあったので、そのあたりに期待しつつ! 次巻を待ちたいと思います。


イラストはフ子さん。背中合わせのラウル&リハルトや結婚式のシーンなど、映える一枚絵がいくつかあって良かったです。
戦いのイラストもどんどん描いていってもらいたいですね。


愛すべきロリ皇帝ミレーニアちゃんの活躍はまだですか!