まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

イチから始める最強勇者育成 毒の沼を泳いで渡る彼女たちを勇者にするのは間違っているだろうか

ストーリー
ある日女神から「魔王打倒のために選ばれし乙女たち」の指導を任されたSランク勇者・クロノス。
ところが女神のミスがきっかけで、クロノスは3人の勇者の少女から下僕扱いを受けることに。
しかも彼女たちはスライム相手に全滅しかけるレベルのムチャクチャなパーティで……。



Sランクの最強勇者がEランクだけど女神から選ばれてしまった勇者の少女たちを育成しようと奮闘するダンジョン×ファンタジー×コメディ。
この新米勇者どもが話を聞かなすぎて全然育成できてねえ! 最強勇者なのに娘っ子たちから侮られっぱなしの主人公が不憫で仕方ない……。
基本ひどい扱いを受けながらも、裏では彼女たちのために、過保護すぎるまでにダンジョン攻略のお膳立てをしてあげる主人公の姿が、なんか親バカで笑えました。


魔王城に一番近い男とまで呼ばれた伝説の勇者・クロノスですが、お間抜けな女神のせいで、冒険の書の表示はバグり、教え導くはずの3人の少女からは下僕扱いされ……と散々な目に。
この3人は勇者としてのセンスが本当にひどくて、毒の沼を泳いで渡るわ、ダンジョンの罠にことごとくひっかかるわ、戦いのセンスゼロだわで、魔王どころか普通のダンジョンでさえ攻略がおぼつかない始末。そのくせ無駄に自信満々だから人のアドバイスを聞かない!
そこでクロノスさんったら、3人の攻略するダンジョンに先んじて乗り込んで、モンスターにお金を持たせておいたり、宝箱や回復ポイントやセーブポイントを設置しておいたり、魔族のHPを削ってボス部屋に閉じ込めておいたりと、細やかすぎる気配りで3人が気持ちよくダンジョン攻略できるように周到に準備するのです。クロノスさん、健気すぎて泣けてくるんですけど……。
でもそんな思いやりをよそに、3人はクロノスが思ってもみなかったやり方でピンチに陥っていくもんだからたまりません。クロノスさん、不憫すぎて泣けてくるんですけど……。


今回のヒロイン役は、勇者なのに剣が苦手で、全く使えない独自の魔法を生み出しては失敗しているツンケン娘・ミア。
最初は全くといっていいほどクロノスの話を聞かなかった彼女ですが、「夢」の中で助けられたことをきっかけに、ちょっとずつ彼のことを頼ってくるあたりが可愛くて、ニヤニヤさせてくれました!
思えば出会いのときから、他の2人と彼女とでは少しクロノスへの対応が違いましたし、もしかしたらメインヒロインになってくれるのかも。
クロノスが実は凄い勇者なんだということに、一番早く気付くことができる立ち位置じゃないかと思います。ミアだけにバレる展開とかも、もしかしたらありそうですね。
ラストではミアだけでなく、ライアもシルフィーも、一応クロノスの指導が少しは届いたような、そうでもないような……。
少しでもクロノスの苦労が報われてくれる日が来ることを祈ります。次巻も楽しみです。


イラストはれい亜さん。女の子がふわふわでとにかく可愛い!
表情も素晴らしくて、特に最後のミアの泣き顔は最高でした。


妖精ベルさんが良いキャラしてはる。