まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

生徒会探偵キリカ6

生徒会探偵キリカ6 (講談社ラノベ文庫)

生徒会探偵キリカ6 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
ついにやってきた生徒会選挙の季節。
絶対王者天王寺狐徹会長に叛旗を翻したひかげは、対立候補の朱鷺子と手を組んでなんとか勝つ道を探り始める。
勝敗の鍵となるのは副会長候補なのだが、美園を超えるような逸材がそうそう見つかるはずもなく……。



待ってました! 遂にあのラスボスとの正面戦争・生徒会選挙編です!
ひかげの思い切った作戦に、キリカの調査力もフル活用し、周囲の人をとことん頼りまくって戦いに挑むのだけれど……それら全ての上を行く絶対君主・天王寺狐徹!
カリスマとはなぜカリスマなのか。その理由の一端を見せつけられる、熱量に溢れた1冊でした。


狐徹に勝ちたい、ただそれだけの気持ちで、最強の会長と真正面からぶつかり合うことを決めたひかげとキリカ。
しかし相手は学園で圧倒的な人気を誇る会長と美園先輩のコンビで、朱鷺子さんも学園ナンバーツーとはいえど、狐徹とは持っている票の数が段違い。
最低限、美園先輩と張る副会長候補を立てなければならないのですが……ひかげの前だとただのエロボケでしかない彼女も、ふと冷静になってみたらとんでもないハイスペック美女ですから、どう考えても勝ち目なし!
と、そこで追い詰められたひかげから飛び出した決断の一手が、また凄まじくエグいものでした。
いや、いざやられてみるとこれしか方法はなかったわけですけどね。とんでもないことしやがるな! さすがは生徒会が誇る詐欺師、人の動かし方というものを知っている……!


ひかげの策によって、いよいよあの会長に勝つ見込みが生まれてきた!
……と思ったけれど、相手はやはり天王寺狐徹でした。逆にひかげを陥れるどころか、実は最初からずっと仕組んでましたー、とか、ほんとなんなんだよこの女。でもこれくらいのことは、そりゃ当然できちゃうよなと思わせられるあたりが、やはり彼女の凄みというものです。
今回作中では、会長が何度か独自の政治論をつらつら述べているのですが、その話がなんかめちゃめちゃ面白くて、いやよく考えたらたぶん暴論なんでしょうけど、なんか妙に説得力があって、無知で愚昧な一般市民としては、この魅惑的すぎる絶対君主に思わずひれ伏したくなってしまうのでした。
端的にいって、超格好良いのです。カリスマとか天才とか、そういう人間を描かせたら、杉井先生はほんとうに凄い。
今回の戦いは色々と意外な形で終わりを迎えましたけれども、ひかげやキリカの戦いはまだ終わっていない、はず。新たな季節を迎えた新生徒会が、次はどんな事件を見せてくれるのか。楽しみでなりません。


ファッション君主制というワードの語感の良さ。