まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔法使いの召使い

魔法使いの召使い (ガガガ文庫)

魔法使いの召使い (ガガガ文庫)

ストーリー
両親を亡くし天涯孤独の身となった少女ビアンカのもとに届いた、働き口を紹介するという差出人不明の手紙。
その手紙に込められた魔力によって異世界へと誘われた彼女は、とある魔法使いの家で召使いとして働くことに。
面倒見のよい家政婦メーネのもと仕事に励むビアンカだったが、不器用な彼女は何をしても失敗ばかりで……。



不器用だけれど心優しく頑張り屋の女の子が、雇われた魔法使いの家で、失敗を繰り返しながらも一生懸命に働いていく物語。
店頭で見た瞬間に一目惚れして読んでみたのですが……ああ、これは素晴らしかったよ!
子どもの頃大好きだった児童向け冒険小説を思い出させてくれる、古めかしくも心に残る素敵なファンタジー作品でした。


まず何が素晴らしいかって、文体のこだわりが素晴らしい。
地の文の表現や、登場人物たちのセリフなど、作中のひとつひとつの言い回しが、まるで海外ファンタジーの翻訳を読んでいるみたいなのです!
ちょっとおおげさで、演劇に出てきそうなセリフの数々に、見事にハートを射抜かれてしまいました。なんなのこれ。ちょっとたまらないんですけど。
お話の展開も、普通の女の子が家をなくして、不思議な魔法使いの家にたどりついて働くことになって……と、超ストレートなストーリーながら夢と冒険が溢れていて、最高でした。小学生に戻ったような気持ちで、ワクワクしながら読んでしまいました。


ビアンカは、とっても不器用で基本ダメダメだけれど、とにかく一生懸命な女の子。
魔法について何も知らない彼女が、少しずつ魔法を学んでいって、人の役に立てるようになって、でもやっぱり失敗しちゃって。
なんとも見ていて危なかっかしい女の子だから、ビアンカの行動から目が離せないんですよね。女の子が頑張っている姿は、やっぱり応援したくなってしまいますしね。その頑張りっぷりが、また大変なことを引き起こしてしまうわけですが……。
優しくも厳しい家政婦のメーネや、偏屈な魔法使いのエルヴィン、ふわふわした謎の生き物ポルスターといった、脇を固める人たち(?)も憎めないキャラクターばかりでよかったです。
いやはや、本当に、最後の一文に至るまで大好きな作品でした。洒落がとびっきりにきいてるよなあ。
続刊があるかどうかは分かりませんが、ぜひともビアンカの今後を見てみたいですね! 期待しています!


イラストは魚さん。淡い色合いが作品によくマッチしていましたね。
お気に入りはびしょぬれビアンカのイラストです。いや、変な意味ではなく。


魔法の呪文を覚えたくなってしまった。