まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

重力迷宮のリリィ

重力迷宮のリリィ (電撃文庫)

重力迷宮のリリィ (電撃文庫)

ストーリ
地下都市の底辺住民が集まる「迷宮層」で生まれ育ったチンピラ・チャンク。
彼は郊外エリアに湧き出てくる機械獣カニバルを索敵して狩ることを生業としていた。
ある日チャンクは、狩ったカニバルの近くで謎めいた少女・リリィを拾うのだが……。



第21回電撃小説大賞の最終選考作品。たったひとりの女の子を助けるためにチンピラが立ち上がってガトリングをぶっ放すボーイミーツガール。
ジャンクヤードみたいなガチャガチャした街「迷宮層」の舞台設定が魅力的でよかったです。
アホなんだけど、リリィを守るためにマフィアも敵に回してのける主人公・チャンクがなかなかカッコイイですね。


迷宮層を闊歩する機械の化物カニバル。いつものようにカニバルを狩っていたチャンクは、謎めいた小さな女の子・リリィと出会います。
たぶんたまたまの出会いだったのだけれど、なぜかチャンクに懐いてひっついてくるリリィがめっちゃ可愛い! ヒロインというよりも妹寄りかもですが。
何の気なしに連れ帰った少女が迷宮層を支配するマフィアたちの抗争の渦中にいると分かって、一度は身を引くチャンク。
一介のチンピラがマフィア同士のいざこざに首を突っ込むわけにはいかない……。でもなぜか、助けたくなってしまった。それならしょうがないじゃないか!
引きこもりだけれど実は凄腕ハッカーの兄貴と組んで実行したリリィ救出作戦は、かなりド派手かつ爽快でしたね。
まあ、後始末は結局マフィアに受け持ってもらった形になるわけですけど、実際に行動に移しちゃうアホがいるかいないかの差はでかかったんじゃないかなと思います。


リリィの救出が済んだと思ったら、今度は連続殺人事件が発生したり大型カニバルが出現したり、迷宮層はゴタゴタ続き。
そんな大事件の数々の中心に見え隠れするリリィの関与、そしてただのチンピラのはずのチャンクがなぜか中心へ駆りだされていく不思議。
色々と面倒な目に遭い続けてしまう彼ですけど、これもリリィのため。ガサツでぶっきらぼう、でも妹思いのいいお兄ちゃんですね。
何やら予言めいたものが提示されていましたが、これからチャンクはリリィと一緒に、どんな運命を辿っていくことになるのでしょうか。
リリィの力のことも気になりますね。次巻でどこまで謎が明かされるのか、楽しみです。


イラストはイセ川ヤスタカさん。何を置いてもリリィが可愛い!
口絵の街並みの様子も良かったです。ぜひ本文中でも背景を描いてほしいですね。


ミザルーエンドもある?