まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

リーングラードの学び舎より 1

リーングラードの学び舎より 1 (オーバーラップ文庫)

リーングラードの学び舎より 1 (オーバーラップ文庫)

ストーリー
リスリア王国で始まった『義務教育推進計画』に基づき、リーングラード学園の教師に任命された術式師・ヨシュアン。
教師の経験など皆無の上に、担当クラスの5人は大貴族の娘やエルフなど個性的な生徒ばかり。
彼女たちの扱いに頭を悩ませながら、なんとか計画通りに授業を進めようとするヨシュアンだが……。



第1回オーバーラップ文庫WEB小説大賞<大賞>受賞作品。
血塗られた過去を持つ術式師の主人公が、新設校の教師として5人の少女たちを教え導く学園教育ファンタジー。
1巻から400ページオーバーという強気&鬼畜なページ数に加え、まさかの丁寧語一人称という文体の独特さにやられて読むのになかなか苦労しましたが、内容はしっかり面白かったです。
教師ものはよいですね。子どもたちの心身の成長はもちろん、術式師としては一流でも教師としては未熟な主人公自身の成長も見どころでした。


主人公のヨシュアンが地の文の語り手なのですが、はっきり言って最初はかなり取っ付きづらかったです。
慇懃無礼なその語り口もさることながら、まだ説明されていない世界設定や自分の過去などを匂わせる情報のちょい出しが結構あって、なんかスッキリしない読み口でした。明かされた部分が増えるにつれて、あまり気にならなくはなりましたが。
一方、授業のシーンはとても楽しかったです。ファンタジーな中にもちゃんと理論があって、読んでいてワクワクしてきました。ヨシュアンの教え方は正直ちょっとどうかと思いますけども。
ヨシュアンが教える生徒であるところの5人の女の子たちは、それぞれ個性があって魅力的でしたね。
ページ数が多い分、ひとりひとりの活躍場面も増えて、5人みんなに愛着が湧いてきました。ああっ、また父性が迸ってしまうぜ。
また、先生同士の絡みもよかったです。新米教師同士のお悩み相談とか、協力とか恋愛とか敵視とか、子どもたちとの関わりとはまた違う面白みがありました。子どもと大人、両方を描くことによって、作中の人間関係にぐんと深みが生まれていたと思います。
ちなみに生徒ではクリスティーナ、先生ではシャルティア先生が一押しですかね!


パッとしない風に見えて、実は相当の実力を隠し持っていたヨシュアン先生。いやあ、こういうお約束展開は大好きですよ。やっぱり先生は凄い人じゃなくちゃね!
ただ個人的な好みとしては、もうちょっとスカッと爽快なくらいの無双っぷりを見せてくれてもよかったかなと思います。なんというか、彼の凄さってわりと地味で、ちょっと伝わりにくいような気が……。あと、敵キャラの妙な小物臭が……(笑)。
とはいえ、物語はまだ始まったばかり。下地は固まってきたので、これからぐぐっと盛り上がってくれることを期待します。


イラストは天之有さん。アニメ調でありつつもシャープな絵柄が格好良くて素敵でした。
セロのデフォルメキャラが可愛すぎてずるい。


ピットラット先生が実は最強パターンとかある?