まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

モノノケグラデーション

ストーリー
人間の本質が「色」で見える高校生・十河春一はある夜、河原で戦う謎の美少女に出会う。
少女・小百合は、人間界にまぎれ込んだ妖怪を監視する組織「木更月」に所属する若きエージェントだった。
なりゆきで小百合に協力することになった春一は、連続傷害事件の犯人である妖怪“栗毛少女”の捜索を開始するが……。



第13回スーパーダッシュ小説新人賞<優秀賞>受賞作品。
ちょっと天然でおトボケなヒロインと一緒に世間を騒がす妖怪をやっつける青春×妖怪バトルストーリー。
うん、いいもん読んだ! 日常パートでのコメディと、バトルや過去回想等でのシリアスのバランスがとても良い作品でした。
なんといっても小百合がアホ可愛い! ちょっとした掛け合いでもクスッとできて、読んでいて楽しかったです。


ヒロイン・小百合は、妖怪退治の若きエースなのに、中身は世間知らずでド天然な女の子。
いきなり家に押しかけてきたり、ダッフルコートの下に服を着ていなかったり、やってることはむちゃくちゃなんだけど、とっても素直で純粋で優しいところが目に見える魅力的なヒロインです。
主に小百合のボケ&主人公・春一のツッコミで構成される会話ギャグがとにかく楽しいですね。
もちろん主人公とヒロインだから、色恋を匂わせるところもあるのだけど、普段はどちらかというと腐れ縁の悪友みたいな関係に近いかもしれません。なんとなく一緒にいて、しょうもない会話でケラケラ笑いあう相手。素敵。
ちょっとした春一の言動で喜んだり嬉しがったりする小百合が、なんというか小動物的で可愛いのです!


春一は過去にとあるトラウマを抱えています。その事件から人の「色」が見えるようになったり、最愛の妹を守ろうと思うようになったりと、色々なことのきっかけになった出来事。
そんな彼の過去を知りながらも、危険な妖怪退治に巻き込んでしまったことに強い罪悪感をいだく小百合。
いきなりのすれ違いにドキドキさせられましたが、ここは春一の主人公っぷりに軍配が上がりましたね。なんだよ、ちょっと格好良いじゃんか。
仲直りもからっとしていて気持ちよくて、ニヤッとしちゃいました。このふたりは本当にいいコンビだ。詩衣さんには悪いけど、ちょっとここの間に入る余地はなさそうです……。
さて、次はどんな妖怪が出てくるのでしょうか。次巻が楽しみです。春一と小百合の関係の発展にも期待してます。


イラストは白身魚さん。いやもうぶっちゃけ完璧でした。この作品に絵柄がピッタリすぎて卑怯なレベル。
特にジト目デフォルメ小百合が可愛くてお気に入りです。


お腹すいてんじゃねえよってツッコミ、すごく好きだ……。