まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺の妹を世界一の魔砲神姫にする方法

ストーリー
最愛の妹・奈緒美を守り、一方的に想いながら、世界一の“魔砲使い”として働く麗美武洋。
ある日彼は、奈緒美が自分に嘘をついて同級生の男子と一緒に帰るところを目撃してしまう。
激怒した武洋は、妹を魔の手から救うために男子学生の家へと飛び込むが……。



第27回ファンタジア大賞<銀賞>受賞作品。
シスコンの兄が最愛の妹を“魔砲使い”にしようとするのだけれど、どんどん彼の思惑から展開が離れていって波乱が巻き起こる魔法少女×シスコンコメディ。
設定は色々とひねくれているのですが、妹ちゃんがとても素直な主人公像をしたキャラクターで、中身はかなりまっすぐな魔法少女もの……といえるかも。
妹ちゃんが魔砲を使えるようになるまでの流れがユニークで面白かったです。


兄・武洋は重度のシスコンにして「世界一の魔砲使い」。妹・奈緒美のためと称して魔砲で監視はするわ、彼女と仲良くなった男の子の家に乱入かますわ、自分が正しいと思い込んでやりたい放題やってしまう非常に厄介なお兄ちゃんです。
妹のことを大事に思っているのは分かりますが、常に自分の庇護の下に入れていないと気が済まないバリバリ束縛タイプで、もう本当に面倒くさい! この兄と一緒にいてよくあんなに素直な妹が育ったなと逆に褒めてあげたい!
一方の奈緒美と友達になった男の子・周平くんは、まあ変わった子なんだけれども根は正直ないい男の子で、むしろふたりのことを応援したくなるくらい。
奈緒美の特訓が自分の思い通りにならずに唇を噛む武洋の姿には、「ざまあみろ」と、ちょっといい気分になりました。一応主人公は武洋だと思うんですけど、これほど絶妙に応援したくない主人公も珍しいな……。


奈緒美の思わぬ成長が、武洋の目を覚ましていく流れはよかったです。
魔砲使いになる前から、奈緒美はとっても「魔法少女」な思考の女の子でした。魔法が使えると、心から信じることができれば、それは叶うもの!
思いっきり兄の度肝を抜いてやった形の彼女が、これからどんな魔砲使いになっていくのか楽しみですね。
それから、兄と妹の関係はわりとどうでもいいので、杜乃と周平くんのことは見守っていきたいです。


イラストは市倉さん。全体的にコロンとしてキャラデザが可愛らしいですね。
バトルの描写もあると嬉しいかも。


クラークさんが地味にかっこいい。地味だけど。